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連載記事 午後の散歩道
山田りかのハートフルエッセイ

プロフィール:某酒類メーカーに勤務するかたわら、ママ達の日々の暮らしを見つめる勤労作家。年齢不詳。いくつになっても、竜也の前では乙女です。

No.51

散歩道的☆ おすすめ ドキュメンタリー

『午後の散歩道』に、ようこそ!

皆様、明けまして おめでとうございまーす♪
寒空の下、散歩道をそぞろ歩く人のなかには 華やかな晴れ着姿や男性のシブイ和服姿もあり、窓際で眺めているだけで めでたい気分を味わえる。

好きです、日本のお正月♡

さて平成も30年となった今年最初の散歩道は……いつものようにコタツに入って楽しめるテレビの話題。
でも今回は恋愛ドラマやお役立ち情報番組じゃなく、ドキュメンタリー番組について、散歩道的に考えてゆきたいと思う。

長年テレビっ子としてこの世を生きてきた私は、ドラマもお笑いバラエティーも歌番組もスポーツ中継も、それぞれに愛している。
しかしそのなかでも、制作者サイドの情熱がビシビシと伝わってくるドキュメンタリー番組に対しては、毎回 尊敬の念をもって視聴しているのである。

ということで、2018年、散歩道がお奨めするドキュメンタリー番組をご紹介しよう。

人間の光と影をみつめる、それがドキュメンタリー。

1. ドキュメント72時間 (NHK総合 金曜夜10時50分~)

毎回、ある一つの場所に72時間 (3日間) カメラを据え、そこに来る人を取材する25分のドキュメンタリー。

場所はどこにでもあるような定食屋やドライブイン、旅行代理店、英会話教室など さまざま。カメラが置かれた時間に沿って、そこに来た人の目的や思いを聞き、72時間たった時点で撤収、というシンプルな仕掛けなのだが、普段は景色の一部分のように思える見知らぬ人々が、そこへ来るまでの思いなどを語りだすと、それぞれにドラマチックで、見る者の気持ちをグイグイと引き寄せるのである。

私が今まで見たなかで一番印象に残っているのはJR鶯谷駅近くの深夜食堂。
東京で仕入れた衣服を日本中に売り歩く、シャレたスーツの行商人のオジサンは、商売の後、ここでラーメンとハイボールを楽しむのが唯一の息抜きだという。

明け方近くに現れた品の良さそうな老婦人は、近くの風俗店の経営者。驚いたことに、数年前まで自分もその店に出ていたそうだ。店はいわゆるババセン(お婆さん専門)の風俗店で、通う客は店の女を 性の相手というよりも、オフクロさんのように慕っているのだという。

毛糸

暢気そうな居酒屋のお客にだって、それぞれのドラマがある。

老婦人が去った後、カウンターでは先程の行商人のオジサンがラーメンに顔を突っ込み、酔いつぶれている。店の従業員が声を声をかけると、行商人のオジサンは ラーメンの汁で汚れたスーツをピシッと伸ばして、朝日のまぶしい町へと消えいった。

2. クレイジー・ジャーニー (TBS 水曜夜11時56分~)

ある一つの物事にクレイジーなまでに入れ込み、その物事のために日本や世界を旅する人を紹介する情報バラエティ。MCは松本仁志、設楽統、小池栄子。
72時間が普通の人をみつめる番組なら、こちらは気合いの入った変人の旅に光を当てる「自分じゃ行かないけど、見てみたい!!」がモットーの番組だ。

紹介されるクレイジーな旅人たちは、外見は普通の人にしか見えない人がほとんどだが、ブラジルのスラム街でギャングの取材をするジャーナリストや、極上のチョコレートを作るためのカカオ豆を求めて世界中を旅するカカオ豆ハンター、3000メートルの崖から飛び降り、モモンガのように空を飛翔するスカイダイバーなど、常人では考えられない情熱に突き動かされた人々なのである。
毛糸

日本中の雷を追う雷ハンター、という人もいる。

世界中の少数民族を求めて旅する写真家ヨシダナギは、アマゾンの奥地へと乗り込み、半裸に独特の化粧を施す現地人に溶け込むために、自らもトップレスになり、女達にメイクや着付けを手伝ってもらい、心を通わせることで自分が求める一枚を撮影するツワモノのフォトグラファーだ。

若くて美しいナギさんに恋する現地人の若者を、通訳ガイドが必至に追っ払い、最後には自分もフラれる、なんていう場面も面白かった。

3. ザ・ノンフィクション (フジテレビ 日曜昼2時~)

出かける用事のない日曜の午後、ふとテレビをつけたら リアルな人間模様に引き込まれ、最後まで見届けてしまう、という1時間モノのドキュメンタリー。
今を生きる普通の人々が、今までとは違う世界に飛び込んで、その世界で生きてゆく、または挫折してその地を去っていくまでの奮闘努力を追っていく。

好評を呼び、シリーズ化されたものも多く、
ネイルが趣味のOLが老舗旅館の若女将になるまで。~花嫁のれん物語~
中年サラリーマンが地下アイドルに本気で恋する。~中年純情物語~
ゲイの妻とレズビアンの夫、男女逆転夫婦の人生。~波乱万丈10年の軌跡~

なかでも私が楽しみにしているのは、普通の女の子が祇園の舞妓になるまでを追う~泣き虫舞妓ものがたり~。

毛糸

(photo by Japanexperterna.se)
はんなり美しい舞妓さんは憧れの的!

舞妓さんに憧れて京都・上七軒のお茶屋に入った女の子は、「仕込みさん」と呼ばれ、言葉遣いから芸事、行儀作法などを徹底的に仕込まれる。
修業の厳しさに耐えかね、お茶屋を脱走して故郷へ逃げ帰る女の子もいれば、お師匠さんから「筋がいい」と褒められ、将来を期待されながら 遅刻の癖が抜けない女の子もいる。その子が化粧をする鏡台の上には、お茶屋のお母さんから贈られたという、駅のホームに設置されそうな巨大な時計が掛かっていた。

カメラは そんな少女達が、時に泣き 歯を食いしばり、芸の道に精進する日々を追うのだが、見ているほうは途中から彼女らの親戚にでもなったような気持ちになる。
番組の最後に、目が覚めるほど美しい「だらりの帯」を締め、季節の花かんざしをさして舞妓デビューの「お店出し」を飾る時などは、
「これからもお気張りやす~!」と涙目で応援してしまうのである。

4.情熱大陸 (TBS 日曜夜11時~)

さまざまなジャンルの「旬な人」に密着する、TBSの看板ドキュメンタリー。
博加瀬太郎のあのバイオリン曲が流れただけで、なんとなく気持ちが上がっちゃう、オーラを持った30分番組だ。

番組の売りは、なんといってもその密着度合。たった30分の本編のために、長いときは3年もかけて取材をするという。
カメラの前では絶対に見せない意外な表情や、普段は決して語らない思いなど、密着するなかで ふと見せる、その人の人間性をすくい上げるのが特徴だ。

毛糸

この模様を見ると、自然と胸が高鳴る!

私が特に忘れられないのは、今や誰もが知る実力派人気俳優、小栗旬の若き日々に密着した前後編。

『花より男子』でブレイクした小栗が、厳しいことで知られる蜷川幸雄の舞台『カリギュラ』の主役に挑みつつ、同時に連ドラの主役もこなす、という殺人スケジュールのなか、疲れと重圧で心身のバランスを失いかけていく。
そしてやってきた舞台初日。こけた頬に目をギラギラと光らせて、
「ブチかましてくるゼ!」と叫んで舞台へ上がっていくまでを追った傑作編だ。
こちらは『情熱大陸×小栗旬 プレミアム・エディション』としてDVD化されているので、興味のある方はチェックしてみて!

以上、平成30年新春オススメのドキュメンタリー番組、いかがでしたか?
かつて『女性自身』の敏腕記者だったプロデューサー・残間里江子氏は、過去1万人にのぼる有名・無名の人々と接し、こんなことを思ったそうだ。

「人間って外側はいろいろだけど、中身はみぃんな、おんなじ」

それがどんな立場の人であれ、優しくされれば嬉しいし、冷たくされれば悲しくなる。
人間は複雑だけどシンプルな生き物。ドキュメンタリーの底辺にあるのは、そんな人間をみつめる、別の人間の温かいまなざしなのだと思う。

毛糸

この顔は流行り病ではなく、アフリカ・スリ族のメイク。超~オシャレ!

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