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連載記事 午後の散歩道
山田りかのハートフルエッセイ

プロフィール:某酒類メーカーに勤務するかたわら、ママ達の日々の暮らしを見つめる勤労作家。年齢不詳。いくつになっても、竜也の前では乙女です。

No.45

王宮ワールドへようこそ☆

『午後の散歩道』に、ようこそ!

レイン シーズンが続いてますねェ。
洗濯物は乾かない、子どもはグズる、外で猫がケンカしてる……。
あ~、もうヤダ! そこらじゅうジメジメしたこの世界から、どこか美しい世界にワープしちゃいたい!!
できれば ただ美しいだけじゃなく、ワクワクドキドキするような、めくるめく世界の住人になりたい♡

どんよりした空を見上げながら、そんなはかない夢を見る そこの奥方!
あなたのために、今月は極上の舞台をご用意しました。

ページを1枚めくっただけで、そこはもう愛と陰謀が渦巻く王宮。
世界で読み継がれている、名作ロマン大河小説をご紹介しよう。

夢の世界へ連れてって~♪

1.波乱万丈ラブロマン『アンジェリク』

この題名を見ただけで、「あ~ん、ジョフレェェ!」
と身もだえした方、どうぞ我が家にひと晩、ご宿泊下さい。
夜を徹して、あの壮大な恋愛小説について語り合おうじゃありませんか(笑)

この物語は、フランス人女性アン・ゴロンが歴史家の夫と書いた大河小説。
フランスでは1985年に最終巻が出版され、「フランス人で知らない人はいない」とまで言われる大人気シリーズである。

日本では1994年に講談社文庫から出版(全26巻)されたのだが、私はちょっとだけ、この本の宣伝CMに関わっていた。

その当時、会社勤めをしながらラジオCMのコピーライターをしていた私は、制作会社の社長から、「コレ読んで20秒のコピーを書け」と指令を受け、「ヘイ!」と気軽に引き受けたのが、『アンジェリク』との出会いである。

本のラジオCMは、内容をネタバレさせず、音だけでリスナーに「読んでみたい!」と思わせる、なかなか高度なテクを要する仕事。
内容を把握した上で、コピー(セリフ)や音のイメージを膨らませていくのだが、社長から手渡された本を読み始めた途端、私はドボン!と物語の世界に没入してしまった。

CMを作ったのは、1巻と10巻の発売時だけだったのに、アンジェリクの人生にハマッた私は、講談社の宣伝担当者に会うたび、
「ねぇ~、次の巻、いつ出るんですかぁ??」
と詰め寄り、社内情報を聞き出そうとしたものである。

その『アンジェリク』のあらすじは、こんな感じ。

フランスの貧乏男爵の家に生まれたアンジェリクは、家の存続のため、南部の大貴族ジョフレ・ド・ペイラック伯爵のもとに嫁ぐ。
ジョフレは顔に傷がある大男で、一見イヤミな貴族野郎なのだが、知性と内に秘めた男の優しさ(と色気♡ )で、次第にアンジェリクの心を捉えていく。
2人は国王ルイ14世結婚の祝典に招かれ、ベルサイユへと旅立つが、ここからが彼女の波乱の人生の幕開け。運命の糸は、富士急ハイランドのジェットコースター『FUJIYAMA』並みのアップ&ダウンで、アンジェリクと読者を翻弄していく。

南仏ラングドック地方の入り江。ジョフレはココの領主だった♡

以下、ネタバレしないように、アンジェリクがどんな経験をするか挙げてみると、

☆パリの女盗賊
☆ルイ14世の恋人
☆トルコ後宮の女奴隷
☆革命の女闘士
☆新大陸(カナダ)へ渡る移民
☆魔女疑惑をかけられる
☆カナダ・ケベックで殺人者と対決

ちょっとブッ飛び過ぎてて、よくわからない。
とおっしゃる方も多いことと思われるが、作者の夫が歴史学者ということもあり、時代考証はカンペキで説得力がある。
そのブッ飛び人生のさなかでも、常に自分を見失わず、女の魅力も失わず、いろいろあっても最後には夫との愛を貫いちゃうのが、アンジェリクのカッコ良い生き様なのである。

あ~、ジメジメ天気と平凡な毎日に飽きたー!
と思ったら、是非、この波乱万丈なアンジェリク ワールドへ飛び込んでみて♪
(現在、出版社の重版予定はないようです。全巻一気読みしたい方は、図書館へGO!)

2.世界最古の恋愛小説『源氏物語』 
さて、おフランスのギラギラな恋愛ドラマはちょっと……。という方にオススメしたいのが、日本が誇る恋愛マスター・紫式部が書いた『源氏物語』。

文献発出は1008年というから、もう1000年以上も前の物語なのに、いまだ書店の棚に存在し続ける超ロングセラー恋愛小説、それが『源氏物語』だ。

京都・宇治市にある紫式部の像。不朽の名作はこの女性から生まれた!

物語の主人公は誰でも知ってる永遠のイケメン・光源氏。
帝の息子でありながら、美しいけれど身分の低い女御の母から生まれたため、臣下の身分に落とされてしまう光クン。
それでも、パパ帝に溺愛され、何不自由なく生まれ育った彼は、愛を求めて次から次へと恋の旅路を続ける、困った貴公子なのである。

私は今までに3度ほど『源氏』にハマり、時代ごとに、与謝野晶子・円地文子・瀬戸内寂聴の訳本を読みふけったのだが、個人的に好きだったのは 内側に情熱を秘めた『与謝野源氏』♡

『源氏物語』は、光源氏が主人公の1~41帖と、彼の死後、忘れ形見の息子・薫の恋愛模様を描いた42~54帖(宇治十帖)の2つのパートで構成されている。
有名なのは もちろん光源氏のパートで、数年前も 生田斗真主演で映画化された。

この物語の魅力は、なんといっても光源氏の麗しさと貴族文化の華やかさ。
紫式部は、光を取り巻く女性たちの衣装の色や柄、焚かれた香の香りまで、絵巻を見るような繊細さで、丁寧に描いている。

でもこの物語の本当の魅力は、色男の源氏に翻弄される、さまざまな立場の女たちの人間ドラマだと私は思う。

私が好きな源氏ガールズは、

◎空蝉…源氏の求愛を受けても落ちなかった唯一の女性。
◎末摘花…赤い鼻のブサイク姫だが、知性と優しさにあふれた人。
◎六条御息所…生霊になって源氏の正妻・葵を取り殺す煩悩ウーマン。
◎玉蔓…光源氏の養女。武骨な男と結婚し、幸せを築く芯の強い姫。
◎浮船…薫大将と匂宮、二人の男の求愛に嫌気がさし、出家しちゃう姫。

どうですか? この個性豊かな女性たち!
彼女たちは物語のなかで、光源氏や薫の君のような美しき権力者に愛されながらも、自分なりの生き方を貫こうとする、実に現代的な心の持ち主たちなのである。

京都 嵯峨野の竹林。光源氏もこの道を歩いて恋人のもとに通ったかも。

というわけで、梅雨のさなかの東西大河ロマンの旅、いかがでしたか?
ゲリラ豪雨でおうちに閉じ込められた日は、本を開いて 昔々の宮廷へ遊びに行こう♪

美しさの基準は1000年でこう変わった! でも、どっちも可愛い◎

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