
プロフィール:某酒類メーカーに勤務するかたわら、ママ達の日々の暮らしを見つめる勤労作家。年齢不詳。いくつになっても、竜也の前では乙女です。
みんな おんなじ空の下♪
2017.04.01『午後の散歩道』に、ようこそ!
Spring has come! そう! この散歩道にも春がやってきました~!
人も犬も猫も鳥も 少し霞んだ4月の空の下で、なんだか生き生きして見える。
ん? 4月? 3月は桃の節句、5月は端午の節句。
じゃあ、4月は? ……ということで、今月は いつもと少し趣向を変えて、LGBT について考えてみようと思う。
1.LGBTってなに?
これを読みながら、そうつぶやいた人はどれくらいいるだろう。
LGBTとは、
L=レズ G=ゲイ B=バイセクシャル T=トランスジェンダー
つまり、性的マイノリティー(少数派) の人々の総称。
「マツコさんとかIKKOさんとか、テレビではよく見るけど、周りでは見かけないなァ」
そうおっしゃる人も多いかもしれない。
もうずいぶん前のことだが、ハワイに住む兄が3才の甥を連れて里帰りし、一緒に温泉へ行った時、甥が宿の売店に飾られているものをじーっとみつめていた。
何かと思い見てみると、それは芸者さんが裸で温泉に浸かっているテレホンカード(古い話だ)であった。
何だかおかしくなって兄に知らせると、
「お~、性に目覚めたかぁ」
兄はウヒャヒャ!と笑いつつ、ポソッと
「コイツがゲイじゃなくて、ホッとしたぜ」と言ったのだった。
誤解のないよう言っておくと、兄は別にゲイの人々に偏見を抱いているのではなく、もし自分の息子がそうした性癖を持っていたら、きっとこの先色々苦労するに違いない。だから息子がノーマルなセクシャルだと知り、親としてホッとした、という意味のつぶやきだったと思う。
今はテレビでも映画でもニュースのなかでも、同性愛やトランスジェンダーの人達を目にすることが多くなり、そうした人々が世の中には結構いるんだ、と思えるようになってきた。
でも現実に、その人達に接する機会があったとき、私達はどんなふうに思い、付き合っていけばいいのだろう。
私は先日、LGBTをテーマにした映画『彼らが本気で編むときは、』を観た。
この映画は、ベルリン映画祭で審査員特別賞と観客賞をW受賞し、海外で高い評価を得た作品だ。
映画はゆったりと美しい映像のなかで、差別や偏見、どんなに強く願ってもなりたい身体になりきれないトランスジェンターの悲しみ、そしてそれらを受け止めながら自分らしく生きようとする人の姿を、静かに描いていた。
いつもは細マッチョ&グイグイ系のイケメン俳優・生田斗真が、トレンスジェンダーで女性になった主人公リンコを、実に可愛らしく演じていて、リンコの健気な乙女心や、触れ合う人々への温かい愛情が、心にじんわり沁みとおるような映画だった。
この映画では、リンコの他にもう1人、心と身体の性が違う小学生の男の子(心は女の子)も登場し、今の世の中で、この子がどんな気持ちで生きていかなければならないのか、という問いかけがされている。
2.私が知ってる素敵な人たち
ごくノーマルな生活を送っている私にも、2人だけ、LGBTの知り合いがいる。
1人はドイツから18才で日本にやってきた超イケメンの漫画家ダビ・ナタナエル君。
ちょっと変わった名前だけど、ご本人了承のもと、本名を使わせてもらおう。
幼い頃から、自分のセクシャルは人と違う、と自覚していたダビ君。
物心ついた時には、きれいに着飾った女の子よりも、男の子のほうに目がいった。
母国ドイツでの少年時代は、学校の友達から意地悪されたり 偏見の目で見られたり、いろいろと辛いことが多かった。
それでもなんとか自分を見失わずに過ごしてこられたのは、家族の温かい理解の眼差しと、未知の国ニッポンの玉手箱みたいなサブカルチャーと出会えたから。
そして18才を過ぎた時、彼は単身、玉手箱の国ニッポンにやってきた。
たった18才で、文化も人種もまったく違う国に飛び込んでいくなんて、凄い勇気。
でも彼はそれだけじゃなく、東京のデザイン学校に入学し、漫画の才能を磨いた。
友達のホームパーティーで会った時、彼はすでに漫画家として立派に独立していた。
「今夜の飲み会には、超イケメンのドイツ人漫画家が来るからね。ゲイだけど」
(ハ!? 超イケメンでドイツ人の漫画家で、ゲイ!?)
児童文学作家のNちゃんからのメールに、私はかなり混乱したのだが、実際に会ってみると、ダビ君は彼女の言う通り、本当に少女マンガから飛び出してきたようなイケメンのドイツ人で、とっても自然体なゲイの好青年だった。
その時 偶然にも、私は別の友人から歌の作詞を頼まれていて、そこにドイツ語を1フレーズだけ入れたいと思っていたところだったので、これは神様の巡り合わせだ!と勝手に決めつけ、初対面のダビ君に、その1フレーズを考えてもらった。
プロの漫画家であるダビ君は、私の図々しいお願いに、いろんなニュアンスのドイツ語を丁寧に教えてくれた。
ダビ君とは その場でface book友達となり、今も彼の投稿を日々の楽しみにしている。
残念なことに、彼は今月、日本人のパートナーと共にドイツへ帰ってしまうのだが、彼の漫画はWEB( plus.comico.jp/manga/1108/ )で読めます!
『Red Poison レッドポイズン』は2月に完結したロマンティック・ホラー♡
ゾクッとしたい方は是非、覗いてみて~♪
私が知ってるもう1人の素敵な人は、昔一緒に働いたことのあるA君。
彼は出会った時、ボーイッシュなショートカットが可愛い、新入社員のUちゃんだった。
体育会系のキビキビした仕事ぶりと、明るくシャイなキャラクターで、周りのみんなに愛されていた。
そのUちゃんからある日、社員一斉同信のメールが届いたのである。
Uちゃんが幼いころから抱えていた性同一障害のこと、通っていた医師や家族と相談し、これから性を男性に変えて生きていく決心をしたことについて、丁寧な文面で綴られていた。
驚いたことに、Uちゃんは そのことを包み隠さず会社にも相談し、きちんと了承を得たという。
「でも、これから何て呼べばいいの? Uちゃんって女の子の名前だよ?」
日頃Uちゃんを可愛がっていた同僚のKちゃんに聞くと、
「Uは親から貰った名前だから、今度も親に付けてもらうんだって」
と教えてくれた。
それを聞いて なんだか急に胸が熱くなり、私とKちゃんは目をしばたたかせながら、
「いい名前が付くといいねェ」
とUちゃんの新しい人生に思いを馳せたのだった。
Uちゃんは、その後 身体の工事を済ませ、医師の診断書を裁判所に提出し、ご両親が新たに名付けたA君として、男子の人生を歩み始めた。
A君が無事に手術を済ませて会社に復帰した時、私はささやかなお祝いに夕食をご馳走した。
待ち合わせの串揚げ屋さんに現れたのは、スッキリと男前になったA君。
私が思わず、
「私が知ってるAのなかで、一番のイケメンだワ」と感想を漏らすと、A君は、
「あザ~ス」と照れ笑いを浮かべた。
以上が、私の知っているLGBTの素敵な人たち。
2人とも、自分らしく生きるための強さと、社会のなかで折り合いながら暮らすしなやかさを持った、カッコイイ大人だ。
もし、あなたの周りに、「あれ? 他の子と違うかな?」と感じる子どもがいたら、どうか優しく接してあげてください。
どの子もみんな、同じ空の下で育つ子ども達!
周りの大人の愛情が、子どもの幸せの土台になるんだ、と私は思う。
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