
プロフィール:某酒類メーカーに勤務するかたわら、ママ達の日々の暮らしを見つめる勤労作家。年齢不詳。いくつになっても、竜也の前では乙女です。
テッパン読書
2015.10.01『午後の散歩道』に、ようこそ!
シルバーウィークはいかがでしたか? 好天に恵まれて、楽しい時間を過ごせたことと思います。 そして休日は終わり、気がつけばすっかり秋……。
あ~、こうやってヒトは季節の垣根を越えながら、トシを取っていくのねぇ。
なぁんて、しんみり思えるのも、秋の空気のイタズラだろうか。
今回は、そんなしんみり気分をゆったり味わえる、テッパン読書のお話を。
ハ? テッパン読書? お好み焼き食べながら読むんかい!?
…と、関西出身の両親に育てられたビタママ編集部Y子の声が耳元に聞こえてきたので説明しよう。
『テッパン読書』とは、誰もが知ってる名作本を、あえて今、読んでみる行為。
あ、Wikipedia で検索しても出てきませんヨ。
だってたった今、私が勝手に名付けた言葉だから(笑)
又吉のベストセラーを追うのもいいけれど、誰もが知ってるあの名作の主人公に会いに行くのって、案外楽しいものである。
海外少女小説
散歩道のテッパン読書でまずオススメなのは、少女向けに書かれた海外の作品。
私は小説家を目指してもがいていた頃、書店に並ぶ売れっ子作家の作品を読むのが苦しくなって、逃げるように『赤毛のアン』を手に取ったことがある。
『赤毛のアン』は、言わずと知れた海外少女小説の金字塔だ。
カナダの東海岸、プリンスエドワード島の農家に引き取られた孤児アン・シャーリーの成長を描いた物語で、確か王子キャラのギルバートとアレコレあった末、結ばれるラブコメだったよネ。
そんな胸キュン欲しさで とりあえずページを繰ってみたアラサー女(当時)の私だったが、すぐにアンと周囲のキャラクターの魅力にハマってしまい、気がつけば新潮社文庫の『アン』シリーズ全10巻を一気読みしていた。
散歩道の諸姉には、昨年の朝ドラ『花子とアン』を見て、私と同じようにテッパン読書にハマった方も多いと思う。
カナダの美しい自然に育まれた人々の暮らしぶりが、まずもって、素敵!
そして周囲から相当な「天然」とみなされる主人公・アンのキャラを、現代ニッポンに置き換えるなら、数年前に一世を風靡した「あまちゃん」だ。
物語にちりばめられた一つ一つのエピソードがすべて面白く、村岡花子翻訳の 古風ななかにキレのある笑いのセンスが、作品の魅力を更に引き立てる。
うーん、いつかアン好きな皆さんを散歩道のカフェに招いて、『アンのお茶会』を開きたいなぁ♪
※現在はこの『アン』シリーズに、アンの老後の日々を描いた11巻目『アンの想い出の日々』が出版されている。
海外少女小説のテッパン読書、他にオススメなのは『若草物語』。
南北戦争時代のアメリカで、つつましく明るく生きるマーチ一家の四人姉妹メグ、ジョー、ベス、エイミーの物語だ。
こちらは昔観たハリウッド映画のジョー(キャサリン・ヘップバーン)が大好きだったのだが、いったいどんな話だったかも思い出せないまま読み始めてみた。
少女時代から成長し、姉妹の恋愛・結婚模様を描いた『続・若草物語』がシリーズでもっともドラマチックな作品である。
読書にネタバレはご法度なので詳しくは伝えられないけれど、この作品のなかで、大事な家族を失う場面がある。
私はこの場面を、皮膚科の待合室で読み、号泣してしまった。
診察を待っている周囲の患者さんが 私の尋常じゃない様子を見て、
(この人、皮膚科で 何があったの!?)
という顔で、我が泣きっ面を恐る恐るうかがっていたのを覚えている。
幕末の志士たちの物語
さて、海外少女小説で号泣したあとは、同時代の日本に目を向けてみよう。
若草物語から、いきなり幕末の志士……ワープするにも程がある、という気がしないでもないが、アメリカで南北戦争をしていた頃、日本はまさに幕末の激動期を迎えていたのである。
志士はいらない。 アタシは乙女気分に浸りたいの♡ とおっしゃるアナタ。
アナタのために用意しました! 幕末志士、テッパンのイケメンを~♪
検索ワードに「幕末 イケメン」と入れると、まず最初に出てくるのは誰もがご存知、土方歳三サマ♡
ホラ、そこのアナタも今、画像を検索して納得したハズ。
私もその昔、彼の写真を見て その甘いマスクにフォーリン・ラブしたクチである。まだネットが普及していなかったその当時、図書館で彼の肖像写真を見てビックラこいたのだった。
この土方さまの人生を劇的に描いたのが、司馬遼太郎先生の不朽の名作『燃えよ剣』だ。
江戸のはずれ、日野の百姓の家で生まれた「バラガキのトシ」が、新撰組副長として幕末の世を駆け抜ける。 司馬先生の筆致は男の骨太さに溢れているためオトメ女子にはハードルが高いように思われそうだが、そんなことはない。
男、それも極上の色男の人生には、彼を慕う女も登場し、胸キュン場面もちゃんと用意されているのである。ニクイよ、司馬先生!
そしてオススメ作品の最後は、なんといっても『竜馬がゆく』。
幕末物のテッパンといえば、これを置いて他にない、というぐらい、テッパン中のテッパン小説だが……。
「うーん、知ってるけど、読んだことナイ!」
とおっしゃるアナタ。
読まずに生きるのは もったいない!!
数年前にNHKの大河ドラマ『竜馬伝』で 福山雅治が熱演したのは記憶に新しいけれど、今まで私達が見てきた竜馬モノのキャラクターというのは、すべて司馬遼太郎の『竜馬がゆく』をベースにしていると言っても過言ではない。
土佐の下級藩士の家に生まれた坂本竜馬が、倒幕・佐幕派が渦巻く 幕末の混沌とした政治状況を打開し、維新への道すじを築き上げる。その過程が 本当に心躍る面白さなのである。
剣術修業で訪れた江戸の千葉道場では、道場の娘・さな と「友達以上・恋人未満」の関係になったり、京の寺田屋で知り合った医者の娘・おりょうに一目惚れして恋愛結婚し、日本人カップルで初めて、ラブラブのハネムーンをしたり。
幕末の世をまとめるだけでも大変なのに、プライベートも何かと忙しい日々を過ごした男。そんな男の生き様が、『竜馬がゆく』ではたっぷりと描かれている。
ただ一つ残念なのは、歴史小説は、主人公の最期が史実として わかっていること。 土方歳三や坂本竜馬の最期が、どんなだったか知っているため、最後を読むのが辛いのだ (泣)
しかし、「死んじゃイヤ(T_T)」と念じながらラストまで読み終わったとき、悲しみだけじゃなく、思うままに生き抜いた人を見送る、どこか爽やかな感情が湧くのが、司馬遼太郎作品のもっとも素敵な魅力だと、私は思う。
以上、秋にオススメ『テッパン読書』、いかがでしたか?
今さら読むのもねぇ~、とつぶやいたアナタ。 「テッパン」は、面白いからテッパンなのだ。秋の夜長に、是非、その面白さを味わっていただきたい。
それはもう全部読んだ!とおっしゃる読書好きの皆さんも、「あー、アレね!」と思うテッパン小説を手にしてみては?
たとえば『嵐が丘』とか『ライ麦畑でつかまえて』とか『源氏物語』とか『放浪記』とか♪ どれもすんごく!面白いですよぉ~。
この秋、「気づいたらハマってた」って体験も、なかなかオツなものです◎
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