
プロフィール:某酒類メーカーに勤務するかたわら、ママ達の日々の暮らしを見つめる勤労作家。年齢不詳。いくつになっても、竜也の前では乙女です。
世界フィギュア開幕!
2015.03.15『午後の散歩道』に、ようこそ!
春の足音が、いよいよ近づいてきましたネ。 散歩道を行き交う人々も、もこもこのダウンジャケットから、明るい色のスプリングコートを身にまとう人が増えてきた。
しかし春の訪れの前に、私には大きなイベントが待っている。 それが毎年この季節に行われる、世界フィギュアスケート選手権大会だ。
世界選手権は、フィギュアスケート界にとって、オリンピックに次ぐ大きなイベント。
今年の開催日程は3月23日から29日まで。開催都市は中国・上海である。
日本の出場選手は、昨年末に行われた全日本フィギュアスケート選手権の表彰式後に発表された。 町田樹選手が突然の引退宣言をした、あの時ですね。
男子シングル……羽生結弦、小塚崇彦、無良崇人
女子シングル……村上佳菜子、宮原知子、本郷理華
アイスダンス……クリス・リード、キャシー・リード
ダブルス…………木原龍一、高橋成美
以上10名が、世界の強豪選手に戦いを挑む。 …と、書いているだけでコーフンする私は、昔からのフィギュアスケートファンである。
どのくらい昔から? と聞きながら、電卓片手に 私の年齢を推察しようとする人、じゃあ言いましょう。 初めてフィギュアを見て心を弾ませたのは、幼〜い頃(←ここ、一応強調)札幌五輪 (‘72) で女子シングルの銅メダリストとなった米国代表ジャネット・リン選手の伸びやかな演技だ。
赤一色のシンプルな衣装に金髪のさらさらショートヘア。 演技中に尻もちをついても絶やさなかった明るい笑顔が、日本中の人々を虜にした。 当時、『銀盤の妖精』と謳われた彼女は、宿舎となった選手村の壁に、「Peace & Love」と落書きしたことでも有名だ。
ジャネット・リンを知らない人、さあ検索して、あの笑顔に触れてみて♪
「雪と氷の祭典」札幌五輪以来、私は冬季オリンピックのフィギュアスケート競技に心をときめかせてきた。 ’84のサラエボ大会でカルメンを演じたカタリーナ・ビットや、同大会で伝説のボレロを演じたアイスダンスのトービル&ディーン組。 ‘80年のレークプラシット大会で、スイス代表デニス・ビールマンの「ビールマン・スピン」を見た時には、これが人間なのか? と、そのしなやかな柔軟性に驚愕したものだ。
日本人選手で 初めて世界に名を残したのは、’92 アルベールビル大会で銀メダルを獲得した伊藤みどり。彼女は当時、女子では不可能といわれた3回転半のジャンプ、トリプルアクセルを武器に、世界を席巻。 金メダルにもっとも近い日本人少女として、アメリカの有名雑誌『タイム』の表紙を飾ったこともある。
でもそのドレスの色とデザインは…(>_<) もうちょっと何とかならないのか!?と、やきもきしながらも、私は彼女の戦いを、深夜、固唾を飲んで見守ったものだ。
結果はジャンプのミスで銀メダルに終わったが、リスクを恐れず、難度の高い技に挑戦するスポーツマン魂に、日本中が感動したのであった。
彼女の登場を機に、「美と技を競う、欧米の競技」と言われてきたフィギュア界にも、日本人選手の活躍が目立ちはじめた。 ’94 リレハンメル大会で5位入賞を果たした佐藤由香、’02 ソルトレークシティ4位の本田武史、5位の村主章江。
そして’06 トリノ大会で荒川静香が金メダルを獲得すると、フィギュアスケート人気は一気に上昇した。
荒川選手以降、安藤美姫や浅田真央、高橋大輔、羽生結弦まで、世界のトップに輝く選手達の活躍は、皆さんもご承知の通りである。
フィギュアスケートの主なシーズン・スケジュールは、
10〜11月……グランプリシリーズ(世界6か国で開催される国際大会)
12月上旬……グランプリ・ファイナル(シリーズ上位6名による決勝戦)
12月下旬……全日本選手権(世界で最もハイレベルな国内大会)
2月中旬……世界四大陸選手権(欧州を除く四大陸の世界大会)
3月下旬……世界選手権
4月中旬……世界国別対抗戦(世界選手権後の、お祭り的な競技イベント)
この競技日程の中に、4年に1度、オリンピック大会が組み込まれる。
静香ちゃんが金メダルを獲ってくれたおかげで、テレビ局の扱いは一変。 今まで深夜にひっそりと放送されていた上記の試合も、ゴールデンタイムへと格上げされた。
グランプリシリーズが始まると、お茶の間のフィギュア・ファンはテレビの前に釘付けとなり、各選手の技の仕上がりや衣装、楽曲や振り付けなどをチェックする。
そうして ごひいきの選手が、世界でどこまで活躍できるか、胸を高鳴らせ、彼らの挑戦を春になるまで見守り続けるのである。
フィギュアスケートは、男女シングルの場合、ショート・プログラム(SP)とフリースケーティング(FS)、2回の演技の合計点を競う採点競技である。
技の要素は、ジャンプ、スピン、ステップ、スパイラル(女子のみ)の4つ。
この中で最もダイナミック、かつ得点が高い要素は皆さんご存知の ジャンプである。ジャンプの種類は全部で6つ。 これを基礎点の高い順に並べると、
1.アクセル 2.ルッツ 3.フリップ 4.ループ 5.サルコウ 6.トゥーループ
アクセルは前向きに飛び上がり、後ろ向きに着地するため、他のジャンプより半回転多く、最も難易度の高いジャンプ。
真央ちゃんの得意技トリプルアクセルは、成功すると基礎点8.5の大技である。
バンクーバー五輪のキム・ヨナは、トリプルアクセルを飛ばず、次に得点の高いトリプルルッツ×トリプルトゥーループのコンビネーションジャンプ(基礎点10.1)で真央を制し、優勝した。
また、ジャンプは演技後半で基礎点が1.1倍に加算されるのも得点を競う上で重要な要素。ソチ五輪で羽生結弦がパトリック・チャンを破って金メダルを獲得したのは、後半のジャンプを完璧に成功させたことが勝因である。
キム・ヨナと羽生結弦、この2人の金メダリストを指導したブライアン・オーサー氏は、選手の能力を最大限に引き出し、得点を積み上げて勝利へと導く、世界でもっとも優れた「軍師」といえるだろう。
さて、ここまでフィギュアスケートの解説(もどき)をしてきたが、この競技の魅力はもちろん、勝ち負けだけじゃない。 選手の個性を生かした衣装や楽曲、演技中の表情など、見ているだけで女子力が上がる華やかさ、銀盤を滑る優雅な美しさは、他のどんなスポーツにもない特徴だ。
「なんか あの人達(選手)って、ナルシストっぽくない?」
元サッカー少年のまーくんは、ハスに構えて彼らを評する。 しかしそんなのは、当たり前のことだと私は思う。 すり鉢状に並ぶ観客席に囲まれたアイスリンクで、誰もいないツルツルの氷の真ん中に立ち、難しい技と表現を、たった1人(もしくは2人)で披露するのだ。 その物凄いプレッシャーに挑む選手が、強靭なメンタルを持ったナルシスト以外に 務まるワケがないではないか。
昨年、ソチ五輪の後に全国で開催された「Smile 浅田真央23年の 軌跡展」。 真央ちゃんファンの私は横浜高島屋の初日に行ってきた。
会場に入ると、スケートを履き始めた5才の頃からソチ五輪まで、彼女が実際に試合で着用した衣装がズラリと並んでいる。 幼少時代を除いたすべての衣装を、私は楽曲・演技とセットで覚えていた。
15才で世界の舞台に躍り出たショパンの「ノクターン」とピンクの衣装。
バンクーバーで大粒の涙を拭ったラフマニノフの「鐘」と真紅の衣装。
母を亡くした直後に全日本で優勝した リストの「愛の夢」と薄紫の小花の衣装。
他の多くのファンがそうであるように、私もまた、浅田真央選手の成長と挫折、不屈のアスリート魂を見守ってきたんだなぁ、と胸に込み上げる思いがあった。
このように、競技と選手個人の人生をオーバーラップさせてしまうのもフィギュアスケートの魅力の一つかもしれない。
摂食障害から競技に復帰し、五輪出場の夢を実現させた鈴木明子選手や、2度の世界フィギュア女王に輝いた 安藤美姫選手の艶やかな演技(と、その後の妊娠・出産!)。 大怪我から復帰してバンクーバーで銅メダルを獲った高橋大輔選手など、フィギュア選手にまつわるドラマを上げたら、一晩中でも語りきれない。
2011年3月11日の東日本大震災で被災した羽生結弦選手は、避難生活の後、故郷を離れ、各地のスケートリンクで研鑽を積んだ。
翌年から現在のコーチ、オーサー氏に師事を仰ぎ、練習拠点をカナダに移した彼は、その年のNHK杯で優勝を飾り、世界のトップスケーターに名を連ねた。
NHK杯が行われたのは仙台市の体育館で、そこは震災当時、被災した方々の遺体安置所になっていた場所である。
ソチ五輪で世界の頂点を極めた羽生選手は、表彰台の真ん中で、最高の笑顔を私達に見せてくれた。
しかし、今シーズンは中国大会での衝突事故や腹痛による緊急入院、退院後の足首捻挫など、波乱に満ちた選手生活を送っている。
世界選手権には出てほしいけど、決して無理はしないでほしい。
でもきっと彼は安全な道を選ばず、二度目の頂点を目指すに違いない。
世界フィギュアに先立ち、先日行われた世界ジュニア選手権では、男子シングルで17才の宇野昌磨が優勝、15才の山本草太が3位。女子シングルでは14才の樋口新葉が3位に入る大健闘を見せた。
さぁ、次はシニアの選手達の本番だ。
シーズンをしめくくる大会は、すぐそこに迫っている。
SHARE PAGE 友達にシェアする
BACKNUMBER バックナンバー
-
2019.06.01 [68]
【最終回】動物動画でビタミンチャージ☆
-
2019.05.01 [67]
レッツ ビギン “万葉集”♪ ~散歩道セレクション~
-
2019.04.01 [66]
散歩道なりに平成を振り返る ~市民から見た あのお二人~
-
2019.03.01 [65]
散歩道なりに平成を振り返る ~あの子たちはどうなった~
-
2019.02.01 [64]
散歩道なりに平成を振り返る ~ドラマ編~
-
2019.01.01 [63]
笑って歩こう!
-
2018.12.01 [62]
~散歩道から~ スポーツ2018
-
2018.11.01 [61]
家の数だけ、鍋がある◎
-
2018.10.01 [60]
秋におすすめ! ビートルズ名曲選♪
-
2018.09.01 [59]
散歩道的 『 世界で暮らす、日本人ママ 』
-
2018.08.01 [58]
ちょっと冷んやり(*_*)怖がりのホラー
-
2018.07.01 [57]
Englishな日々~Season 4~
-
2018.06.01 [56]
Englishな日々~Season 3~
-
2018.05.01 [55]
Englishな日々~Season 2~
-
2018.04.02 [54]
Englishな日々~Season 1~
-
2018.03.01 [53]
“大会11日目”の 平昌五輪!!
-
2018.02.01 [52]
厳選!大人が楽しむ児童文学◎
-
2018.01.01 [51]
散歩道的☆ おすすめ ドキュメンタリー
-
2017.12.01 [50]
聖なる夜の 熱い闘い ~ 平昌五輪への道 ~
-
2017.11.01 [49]
好きなこと、みつけよう!
-
2017.10.01 [48]
私のHawaii 旅行記♪ ~その2~
-
2017.09.01 [47]
私のHawaii 旅行記♪ ~その1~
-
2017.07.31 [46]
母、強し!
-
2017.06.30 [45]
王宮ワールドへようこそ☆
-
2017.06.01 [44]
ドラマ、何 見てる?
-
2017.05.01 [43]
Let’s 妄想!
-
2017.04.01 [42]
みんな おんなじ空の下♪
-
2017.02.23 [41]
歌舞伎のお話
-
2017.02.01 [40]
Mother’s Movie で ハート・ウォーミング◎
-
2017.01.01 [39]
漫画にいろいろ 教わった
-
2016.11.30 [38]
メリークリスマス On The Ice ☆
-
2016.11.01 [37]
お楽しみテレビドラマ
-
2016.10.01 [36]
真夜中の訪問者
-
2016.09.01 [35]
散歩道から “オリンピック まとめ”
-
2016.08.01 [34]
けもの道のレシピ ~真夏のサボリ飯♪~
-
2016.07.01 [33]
忘れられない舞台
-
2016.06.01 [32]
ミュージアムで ビタミン補給 ☆
-
2016.05.02 [31]
Enjoy♪ Boy’s ムービー!
-
2016.04.01 [30]
先生物語
-
2016.03.01 [29]
ガールズ ムービー ~ネタバレ あり♪~
-
2016.02.01 []
勘違い & もの忘れ
-
2016.01.01 [28]
こたつとみかんと ”アナタ”
-
2015.12.01 [27]
私の隣りの 日本代表
-
2015.11.01 [26]
けもの道のレシピ Part.2
-
2015.10.01 [25]
テッパン読書
-
2015.09.01 [24]
散歩道の動物たち
-
2015.08.01 [23]
真夏のバカップル
-
2015.07.01 [22]
舞台が待っている♪
-
2015.06.01 [21]
夏までに!
-
2015.05.01 [20]
男の子の話
-
2015.04.01 [19]
桜吹雪
-
2015.03.15 [18]
世界フィギュア開幕!
-
2015.03.01 [17]
女の子の話
-
2015.02.15 [16]
関西紀行 〜大阪・京都の横丁巡り&ハリーポッター♪〜
-
2015.02.01 [15]
真冬のあったかシネマ〜 100円レンタル♪ おすすめDVD Part2
-
2015.01.15 [14]
家族の一員
-
2015.01.01 [13]
初春 夢の話
-
2014.12.15 [12]
2014年スポーツ名場面
-
2014.12.01 [11]
酔っぱらい列伝
-
2014.11.15 [10]
心のなかに住んでる ともだち
-
2014.11.01 [09]
観劇レポート
-
2014.10.15 [08]
けもの道のレシピ
-
2014.10.01 [07]
忘れ物の女王
-
2014.09.15 [06]
秋の夜長に 〜 100円レンタル♪ おすすめDVD 〜
-
2014.09.01 [05]
フィンランド紀行(4) 〜キートス スオミ!そしてオーロラ編〜
-
2014.08.15 [04]
フィンランド紀行(3) 〜 北上!ラップランド編 〜
-
2014.08.01 [03]
フィンランド紀行 〜 スオミはステキ 編 〜
-
2014.07.15 [02]
フィンランド紀行 〜 出発編 〜
-
2014.07.01 [01]
夢の話
-
2014.05.28 [00]
山田りか と申します