
プロフィール:某酒類メーカーに勤務するかたわら、ママ達の日々の暮らしを見つめる勤労作家。年齢不詳。いくつになっても、竜也の前では乙女です。
フィンランド紀行(3) 〜 北上!ラップランド編 〜
2014.08.15『午後の散歩道』に、ようこそ!
…午後の散歩道? この猛暑のなか、散歩!?
ま、しろっていうならするけど、帰りに かき氷ご馳走してよね。
宇治金時にプラス100円で 練乳かけてね!!
連載のスタート時には2か月あったタイムラグが
ついに2週間を切ってしまった。
これを書く私の耳にはアブラゼミとミンミンゼミの鳴き声が。
ああ、うるさい。 気にすると ますます汗が噴き出てくる。
さぁ、心を鎮めて 思い出そう。
北欧の小さな都市を歩いたのは、今からちょうど半年前のことだ。
現地の郷土料理店で、Cちゃんと旅の出発を祝った私は、
翌朝、ホテル1階の小さなダイニングで朝食をとり、
半日かけてヘルシンキの街を観光した。
「ちっちゃな街だから、半日あれば回れちゃうわよ」
旅の隊長Cちゃんの言葉通り、ヘルシンキはとってもコンパクトな街。
日本でいえば、表参道と竹芝桟橋と丸の内がくっついたような感じで、
お洒落な商店が並ぶ大通りや、バルト海最奥のフィンランド湾、
大聖堂や官庁街が隣接しており、観光者が短時間で楽しめる街なのだ。
曇天の雪景色だけど、気温はマイナス2度。
街中にあふれるデザインに見惚れ、寒さを忘れて歩き回った。
歩き疲れた私達は、大型書店のカフェでひと休み。
フィンランドの国民的建築家アルヴァ・アアルトの設計による
アカデミア書店は、大理石の壁と大きな吹き抜けが印象的な本屋さんだ。
映画『かもめ食堂』の1シーンにも登場したそうな。
月曜日のランチ時、建築家の名前を冠したカフェは 現地の人々で満員だ。
カップ入りの紅茶とキッシュにパン、サラダ付きのランチプレートは
€14.65、日本円で税込約2000円。
高いけれど、新鮮野菜とボリュームたっぷりの料理には、納得の値段だ。
そのうえ更に「タルトも食べたい!」と言いだした食いしん坊Cちゃんを
「やめたほうがいいって!」と押しとどめ、次の観光地へ向かう。
書店を出た私達は、トラムに乗って街の反対側にある
石の教会「テンペロアウキオ教会」へ行った。
巨大な岩盤をくり抜いて造られたこの教会。
壁は氷河期の岩石、ドーム型の天井には銅板が貼られ、
ガラス窓からは自然光が入る仕組みになっている。
低く厳かに流れる教会音楽は、人を選別しない温かみのある響きで
遠く日本からやってきた私達ツーリストのことも、
分け隔てなく包み込んでくれるような優しさが感じられる。
ヘルシンキ半日観光を終えた私達は、オーロラを求めて国内線に乗り、
サンタ・クロースの故郷ラップランドへと飛び立った。
ラップランドの玄関口、ロヴァニエミ空港で出迎えてくれたのは
雪のなかで輝くトナカイのイルミネーション。
ヘルシンキとは異次元の、キンと冷えた北極圏の空気に
「来たねー!」と笑みを交わすCちゃんと私。
ライトに照らされた夜空は分厚い雲に覆われているけれど、
私達は共に、これまでの人生「肝心な時は晴れ女」で通している。
今夜はダメでも、そのうち晴れた夜空のなかに
バーンと凄いオーロラが現れてくれるサ! と思っていた。
翌日はホテルから森の小道をてくてく歩き、
『美術館』という名の自然史博物館で、オーロラが発生するメカニズムや、
ラップランドの先住民族 サーメ人の歴史を学びつつ、夜の訪れを待つ。
午後9時。 私達は希望に胸をふくらませ、
オーロラ・ハンティングバス『モイモイ号』に乗り込んだ。
乗客は全員が日本人。 日本人向けのツアーだから当然なのだが、
オーロラが目的の観光客は、なんと9割以上が日本人。
我々は世界のなかでもっとも、幻想的な自然現象に
ロマンを感じる民族のようである。
バスは 気象観測所と連絡を取りながら、
雲の切れ間を求め、ロヴァニエミの森を北上する。
私達は、真っ暗闇の凍った湖のほとりでバスを降りた。
サーメ人の住居を模した小屋で、時々暖をとりながら
私達はひたすら、オーロラの訪れを待った。
「あ、あの白い光は!?」
ぼんやりと白くなった夜空を指差し、私達が叫ぶと、日本人ガイドは
「あれは、隣町の明かりが反射してるだけ。
残念ながら、オーロラではありません」
苦笑いを浮かべながら、きっぱりと言う。
結局その晩は、オーロラを見ることができなかった。
このツアーで見事オーロラを見た者には、
ロヴァニエミ市長のサインが入った「オーロラ観測証明書」が
与えられるということだったが、私達に配られたのは
「オーロラツアーに参加した証明書」。
ツアー会社の せめてもの誠意(= 証明書)を受け取り、
私達はホテルに戻った。
「ま、こんなこともあるよね」
「うん。 ジュース飲んで元気出たしネ」
ツアー中にサーメ人のおばさんから ふるまわれた
温かいベリージュースの美味しさだけが
この夜のCちゃんと私にとって、唯一の慰めだった。
翌朝は別のバスに乗り、北極線上にあるサンタクロース村へ行った。
行く前から、なんとなく予感していた通り、
村は全体的に観光ビジネスの雰囲気に満ちていた。
大音量で流れる音楽は、なぜかビゼーの「アルルの女」。
サンタに扮したおじさんとの記念写真は1カット €14.65
日本円で約3400円も取るとは、商魂たくましい。
大人女子のCちゃんと私はサンタさんをスルーし、
ガラスメーカーiitala のアウトレットに入り浸って
お土産用のグラスとマグカップを大量に買い込んだ。
ランチタイムの集合前に、村内のサンタクロース郵便局へ行き、
ハワイに住む姪宛てに、クリスマスカードを投函した。
カードは今年のクリスマス、郵便で姪の元に届く。
サンタさんとの記念撮影より、ずっと安上がりで楽しい趣向である。
ランチに同席したツアーガイドの日本人女性Iさんは、
デザインを学ぶためフィンランドに留学し、
現地の男性と結婚して、そのままこの地に住むことになったという。
彼女によると、フィンランド人はシャイで真面目。
人には親切で誠実だけれど、心を開くまでは時間が必要なんだそう。
なんだか日本人、それも東北の人と似たところがありそうだ。
彼らは自分達のことを「北欧の田舎者」と言い、
隣国のスウェーデンに、密かなライバル心を抱いているらしい。
アイスホッケーの強国であるスウェーデンが試合に負けると、
旦那と旦那の父親が、ものすごく嬉しそうにしているのが
「子どもじみていて、情けないんですよね」と笑いながら話していた。
Iさんとのお喋りを楽しんだ後、私達は迎えのバンに乗り、
彼女と別れてラップランドのスキーリゾート、サーリセルカへと向かった。
雪道をハイスピードで飛ばす運転にひやひやすること2時間半。
サーリセルカは、観光の街ロヴァニエミとは一線を画し、
本当に一面の銀世界。
スキー客向けの20軒ばかりのホテルとレストランで構成された
小さな小さなリゾートタウンである。
私達が投宿するのは、「リエコン リンナ」( 雷鳥の城 )という名の
素敵なホテルだ。
と、ここで〜! またしてもページが尽きてしまったとさ。
エーッ。犬ぞりはどうした? サギだ!
イエ、泊まったのは雷鳥の城です(^o^;
この白銀の世界で、私達は無事オーロラに遭遇したのか。
それは再来週までのお楽しみ。
ハイ、それでは問題です。
以上、苦情は編集部が責任をもってお受けいたします。笑
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