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連載記事 すくすくポイント

國學院大學人間開発学部による「子育てエッセー」
教育が抱えるさまざまな問題と向き合いながら、子どもたちの健やかな成長を考えます。

2016年 No.06

豊かな会話で子どもの思考力が育つ

「チョコが食べたい子どもとの会話」
 子どもはよくおしゃべりをします。たとえば日常生活の中で次のような場面に遭遇するでしょう。夕食の準備をしているお母さんに、「今、チョコレート食べたらいけないよね」と子どもが問いかけ、お母さんが、「そうだよ、もうすぐ夕食だから我慢しなさい」と答えます。さらに、「今チョコレートを食べたら、もうお母さん買ってくれないね」と子どもがたたみかけます。「そうだよ、約束でしょう」とお母さん。「今、チョコレートを食べたらお父さんが帰ってきて怒るね」と子ども。さすがのお母さんも「何度言ったらわかるの、お母さんは食事の支度をしているから忙しいの。あっちに行ってて」。このように怒ったことのあるお母さんは少なくないでしょう。

「なぜ子どもはしつこいのか?」
 チョコレートを食べたくてしかたがない子どもは、自分なりに懸命に我慢しようとしていたのです。食べたらいけない、食べたらいけないという思いが口から出ていたのです。そのような思いは子どもの場合、ひとりごとや会話の形になって現れます。つまり子どもは夕食前だから食べたらいけないのだ、規則を破るとお母さんがもうチョコレートを買ってくれない、お父さんも叱ると自分なりに考えていたのです。お母さんが会話の相手になってあげなければ、考えることをやめるでしょう。あるいは「えーい、食べちゃえ」ということになるかもしれません。

「思考力豊かな子に育てるには」
 大人ならロダンの考える人のようにトイレに閉じこもり、外界を遮断して頭の中で言葉を巡らせ考えることができます。いわゆる沈思黙考です。しかし、子どもには沈思黙考はまだ無理です。子どもは具体的に言葉に出して考えます。実は大人もそれと同じようなことをして考えることがあります。カウンセリングです。カウンセラーが来談者に「それはあなたが悪いからでしょう」と言うと、その人はもう相談に来ません。「そうなんですね」と受け止めてあげると、来談者は自分の思いをいろいろ話し始めます。そしてカウンセラーとの会話の中で新たな自分に気づき、自ら解決策を探し出すことができるのです。壁打ちをしながらテニスが上達していくようなものです。カウンセラーは正直にボールを返してあげる壁です。
 自分の子どもを思考力豊かな子にしたいと思うなら、たくさん話し相手になってあげてください。どんと胸を貸してあげてください。大人も子どもも、いくつになっても、どんな時でも会話する相手は必要です。

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