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連載記事 すくすくポイント

國學院大學人間開発学部による「子育てエッセー」
教育が抱えるさまざまな問題と向き合いながら、子どもたちの健やかな成長を考えます。

2016年 No.03

「描いてみよう」と思わせる環境づくりで、幼児はスクスク成長

 「環境か、それとも素質・遺伝か」。この問題は、子育ての永遠のテーマです。
 とは言え、環境と素質とは相互に関係しあう相互作用、というのが妥当な回答でしょう。ここで大事なことは、幼児の場合はどうか、ということです。
 少なくとも、精神的能力が未発達なときほど、素質よりも環境が優先する、というのが定説です。つまり、精神的に未発達な状態の幼児期は、周りの環境や雰囲気に大きな影響を受けるということです。
 幼稚園や保育所の先生方は、それを「環境の原理」と言います。それでは、「環境の原理」とは何でしょうか。
 幼児は小学生と違って、「絵を描いてごらん」と言っても、その通りには行いません。自然に絵を描きたくなるような環境づくり、雰囲気づくりが必要となります。
 例えば、この4月であれば絵本や写真などでチューリップの絵を見せてみましょう。あるいは、チューリップを一輪花びんに挿しておくのも良いですね。そして、「まあ、きれいね、きれいね」、と誘導します。「咲いた、咲いた♪」とチューリップの歌を歌うこともあるでしょう。
 そうしておいて、「チューリップを描いてみようか」、と誘ってみます。絵を描く気になるように「誘導」するのです。私の2歳の孫は、踊りが大好き。身振り手振りで、ダンスを始めました。
 直接「歌ってごらん」や「描いてごらん」ではなく、まずは、その気持ちにさせる環境や雰囲気を子どもの周りに用意して、歌やお絵描きへと誘導する。こうして、能力を開花させるのです。つまり、「人間開発」を行うのです。
 子どもの能力って、計り知れないものがあります。朝はまだつぼみだったチューリップが、夕方には花開いている、と教えてくれます。絵を描くという行為から、自然観察能力へとさらに発展させているのです。
 最近の家庭では、遊具、おもちゃ、絵本、楽器などがたくさん用意されている場合が少なくありません。これらはすべて子育て環境整備の一部です。当然のことながら、環境は貧弱であるよりも、豊かであるほうが良いでしょう。豊かな環境を与えることは、大切です。
 しかし、せっかく良い環境がそろっていても子どもに働きかけなければ、意味がありません。子育て環境としては、価値が低いと言えます。幼児に働きかけて、言い換えれば「誘導」して始めて「環境の原理」としての意味が生まれます。
 少ない環境整備でも、それを豊かな環境にするのは、親の直接指導ではありません。親の幼児への間接的な「誘導」への働きかけなのです。

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