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補助犬の社会における理解と普及を目指す

盲導犬・介助犬・聴導犬 3種の補助犬の活躍が 真のバリアフリーの世の中を作る

お話


▲NPO法人日本補助犬情報センター事務局長
橋爪 智子(はしづめ ともこ)さん

同志社大学を卒業後損害保険会社に入社。1997年にアニマルアシステッドセラピーに出会い、ボランティア活動をはじめる。2002年、日本補助犬情報センターの設立とともにNPO法人日本補助犬情報センター事務局長に就任。京都府京都市出身。

 

2002年に制定された身体障害者補助犬法は、補助犬とともに生活をする障害者の自立と社会参加を促進するための法律です。

NPO法人日本補助犬情報センターは、これら補助犬の社会における理解と普及を目指した活動を行っています。

補助犬が担う社会的な役割について、NPO法人日本補助犬情報センター事務局長の橋爪智子さんにお話を伺いました。

 


 

身体障害者補助犬は障害者の生活をサポートする「盲導犬」「介助犬」「聴導犬」のことです。

その中でもよく知られる盲導犬は視覚に障害がある方に、曲がり角や段差、障害物があることを止まったり、避けて動いたりすることでハーネス(犬の体につける器具)を介してユーザー(その補助犬と生活する障害者)に教え、安全かつ快適な歩行をサポートします。

介助犬は肢体に障害がある方のために、小銭や鍵、携帯電話など落としたものをくわえて拾ったり、指示したものを持ってきたり、ドアを開閉したりします。車いすの方が転倒した場合、犬が起こしてあげることは難しいため、携帯電話を手元に届けるなど緊急連絡手段の確保も行います。

そして聴導犬は聴覚に障害がある方に音を教えます。赤ちゃんが泣いていることや、ファックスや携帯メールの着信音、玄関のチャイムなどを、ユーザーのひざ元をタッチして知らせたり、音源まで連れて行ったりという役割を担います。歩いているときに、後ろから来た自転車や車の存在など、危険が迫っていることも知らせます。


(写真はイメージです)

 

厚生労働省の報告によると2019年3月末日現在、日本国内で1062頭の補助犬が活動しています。補助犬となる犬は産まれてすぐ、パピーボランティアのところで生活し、1歳になるころ、訓練事業者のもとでトレーニングを積みます。

補助犬となる犬は訓練事業者(トレーナー)により、「呼ぶと来る」「座る・伏せる・待つ・止まる」「指示された場所で排泄する」「ユーザーに注目して集中できる」といった基礎訓練と、それぞれの補助犬の活動に必要な介助動作の訓練を受けます。

その後、ユーザーのもとへ行きますが、「犬はロボットではなく、感情がありますから」と橋爪さん。この時点では、それまで一緒に過ごしてきたトレーナーのことが大好きですから、すぐにユーザーの言うことを聞くわけではありません。

そのため、犬とユーザーは合同訓練によって一緒にいる時間を増やし、コミュニケーションをとることで、犬が「この人といるとすごく楽しい」「この人に喜んでもらえるのは自分にとって幸せ」という気持ちにさせることが大切です。ユーザーは犬を愛し、毎日のブラッシングや食事、排せつのお世話などを行います。

「ユーザーさんの障害の度合いによって、自分でできないことは家族などが手伝います。でも、最終的な『OK』を出すのはユーザーさん。できる限りのことを積極的に行うことで信頼関係が築けるのです」

こうした経験を積み、ユーザー自身がさまざまな環境でそれぞれの犬に基本的な動作をさせることができるか、また適切に管理できているかを厚生労働大臣指定法人の認定審査委員会が検証します。この認定試験をクリアしてはじめて、国から「補助犬」と認められます。

 

補助犬の活動について、企業や学校で講演を行ってきた橋爪さん。最近、少しずつではあるものの、補助犬についての意識が高まりつつあることを実感。

補助犬は障害者にとって欠かせないパートナーで、きちんと訓練を受けて国に認められています。

「でも、全国で66%のユーザーさんが飲食店や施設で補助犬との同伴を拒否された経験を持っています。拒否されると障害がある自分が断られたという気持ちになってしまう。補助犬はペットではないことを理解してほしいですね」

そこで補助犬をより広く知ってもらうため、日本補助犬情報センターは2018年9月30日に「補助犬フレンドリー祭りin恵比寿」というイベントを開催しました。

盲導犬ユーザーから点字を教わり、聴導犬ユーザーからは手話を学び、介助犬ユーザーから出題されるユニバーサルデザインに関するクイズに答えるなどの催しが行われ、足を運んだ参加者はもちろん、ユーザー自身も楽しんでいたそうです。

「将来、日本補助犬情報センターが間に入らなくても、当たり前のように障害のある方々が補助犬と社会参加できる世の中になることを願っています」

 

補助犬はユーザーにとって、かけがえのないパートナー。常に一緒にいたい。ですが、海外へ連れ出すことは非常に手間と時間がかかるそう。特に外国から日本へ補助犬を連れてくるのは、一筋縄ではいかないのが現実。

補助犬と生活しているユーザーは世界中にいます。しかし補助犬を自分の国から日本へ連れてくるのは簡単ではないそう。

中でも手続きに時間を要するのが狂犬病の問題です。日本は世界で6地域しかない狂犬病清浄国、つまり狂犬病が発生していない国に指定されています。正常国でない国から日本へ犬を連れてくるためには、予防接種や獣医からの証明書類の提出など、手続きに半年以上要することになります。

また補助犬に関する国際基準はないため、海外では認められている精神障害補助犬や自閉症補助犬などは日本が定める補助犬に含まれておらず、更には国内の認定指定法人による期間限定の証明書を取得しなければ一般的なペットと扱われます。


「今後、自分の補助犬と日本を楽しみたい、という方は増えると思います。そのためには何が必要か。日本はどう受け入れるべきなのかを厚生労働省や農水省または複数の関係省庁と話し合い、対策を進めているところです。

また海外の障害者の方に日本の補助犬事情を知ってもらうため、英語のウェブサイトの監修も行いました。近い将来、補助犬とともに日本を訪れることへの壁がなくなるといいですね」と橋爪さん。

 

2020年に行われる東京オリンピック・パラリンピック。パラリンピアンにも、補助犬と生活している方は多いといいます。しかし苦渋の選択で置いてこられる方が多いのもまた事実。

「パラリンピアンの方はどうするのか、気になったので調べました。パラリンピアンにもなると、競技に集中するため、犬のお世話ができないんです。メンタルやフィジカルを最高潮にしないといけない。だから犬を連れてこない方が多いそうです。

その代わりと言ってはなんですが、人的サポートがしっかりしているので、選手は競技だけに集中できる環境を整えてくださっているようです。中にはさまざまな条件をクリアして連れてくる方もいますし、日本人でもマラソンやバドミントンの選手で、補助犬と生活している方はいらっしゃいます。

本当は犬と一緒に来たいと思っているでしょうし、私たちも一緒に来てほしいと思います。そのサポートができるようになればいいですね」と橋爪さんは語ります。

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