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【インタビュー】患者からエネルギーをもらえるのが小児科医の魅力

院長 百々 秀心先生

東京医科大学小児科学大学院卒業。東京大学小児科、トロント小児病院、カリフォルニア大学ロサンゼルス校勤務。国立小児病院、国立成育医療センター(現国立成育医療研究センター)を経て、2006年こどもの木クリニックを開院。日本小児科学会認定小児科専門医、医学博士。

患者からエネルギーをもらえるのが小児科医の魅力

小児科医であり、心臓病のエキスパートでもある院長の百々秀心先生は、元気ではっきりとした口調とさわやかな笑顔が印象的。患者一人一人と丁寧に向き合う愛情あふれる診察スタイルがにじみ出ているようです。一方で、どんなときも病気を見落とさない診療を肝に銘じている、と語る姿からは信頼できる懐の深さと強い志を感じます。百々先生ならではのきめ細やかな視点と、手厚いコミュニケーションが、多くの子供たちと親の心を救っています。
――小児科医を志したきっかけを教えてください

父が医者だった影響で、子供の頃から特に意識せずに自然と医師を志すようになっていました。父はヘルシンキオリンピックの馬術の選手でもありました。父が持っていた馬に幼い頃から乗っていて、私は大学では馬術部に所属しており、実は国体に出たという経験もあります。馬術部の先輩や顧問の先生たちに小児科医が多かったことも理由のひとつですし、自分をとりまく環境によるところは大きかったかなと思います。

――小児科医という仕事はお忙しいと思いますが、長年の経験を経て、どのような仕事だと感じていますか?

私は常々、数ある医師の中で小児科医がいちばん“得”だなと思っているんです。医師は患者を元気にするのが仕事ですが、患者からエネルギーをもらえることは少ない。でも子供は本当に可愛くてエネルギーの塊のようなもの。そのパワーをもらえるんです。しかも子供って、よくなっていくと、ものすごく反応が分かりやすく目に見えるんです。その過程を見守っていけることが本当にうれしい。だからこそ、子供たちに対して失礼がないように、一人一人きちんと診たいという気持ちにつながります。

医師となって30年以上経った今、父親として今度は息子に影響を与える立場になりました。息子も医師となり、横須賀の海軍病院に勤めています。ハードな現場で苦労しているようですが、妻や娘も含めて家族共通の趣味がショッピングなので、週末は皆で買い物に出かけることでストレス発散できています。私自身は週2回くらいジムに行くことも趣味のひとつですね。007みたいに格好良くスーツを着こなしたくて。あまり着る機会がなくて残念なんですが(笑)。でも結果的に健康管理につながっていますし、数少ない趣味として続けています。

アメリカ・カナダで出会った、徹底的に患者と向き合う診療スタイル

――大学院を修了後、アメリカとカナダに留学をされた理由は?
私の専門である「心臓」の最先端がアメリカ・カナダだったということもありますし、国際学会でも堂々と発表できるディベート力を身に付けたかったこと、世界で活躍するレベルの医者と同等に討論する力を身につけたかったことなど、理由はたくさんあります。子供の頃から海外で生活してみたかったという憧れもありました。

実際に7年間、アメリカ・カナダで医師として過ごした中で、私がもっとも感じたのは、患者と向き合う姿勢が日本と全く違うことでした。アメリカやカナダでは、診察を始める前に、まず医師から自己紹介するんです。そしてたとえ相手が子供でも、「これからどんな診察や治療をするか」をしっかりと説明します。「聴診器をあてるね。口の中を診るよ。つぎに首を触るね…」といった具合。「いったい何をされるのか」という恐怖感を取り除くことが大切だと私は考えていて、たとえば、注射など痛い治療をしなければならない際にも、「素敵なクツだね!」といって持ち物を褒めるなどして注意をそらし、心をほぐしてあげるんです。

診断についても同様に、徹底的に説明します。「診断をした結果、どういう診断で、どういう治療をするために、この薬を出しますよ」と説明をはっきりと分かりやすく伝えること。私が大切にしているポイントです。

――海外生活で習得した英語を現在でも使う機会はありますか?
つい先日も横須賀の海軍病院から、生後間もない赤ちゃんの心臓に雑音があるとのことで、診断を仰ぐ依頼が来ました。海軍病院ですから患者も医師もアメリカ人で、当然、英語でのコミュニケーションになります。FAXと電話でやりとりし、どのような疾患が考えられるか、どう治療すべきかという指示を出したところです。アメリカ・カナダでの留学経験は、いろいろな意味で、今の私にとって大きかったですね。

――「こころの外来」という小児専門の精神科があるのもこちらの医院の特徴ですね
意外かもしれませんが、私の専門である「心臓」は、数学的に分析できる分かりやすい臓器なんですよね。心電図などの検査も数学的な要素が大きく、「1+1が2」になりえる分野です。しかし心の病気はその真逆にある。「落ち着きがない」「やる気がない」などという症状は、一概に病気とは診断しづらいですし、「個性」だとか「がんばれよ」などと片づけてしまいがちだったり。漠然としていてつかみどころがなく、自分の専門とはかけ離れた心の病という世界を、どちらかというと敬遠してきました。

実際に、子供の患者に接するうちに、こころの問題を抱えた子が多いことに気づいて…。自分では太刀打ちできないと感じましたし、専門医に紹介したくても、小児専門の精神科医が少ないという現実を知りました。前に勤めていた成育医療センターの専門医に協力してもらうことで「こころの外来」を新設するに至りました。いまは初診が3~4カ月待ちという状態で、その需要の多さを実感しているところです。アメリカでは日本と比較にならないほど精神科医の地位は高い。日本でも今後、患者が増えるでしょうし、精神科、とくに小児精神科医はどんどん必要とされると思います。

「いつもと違う」子供の様子に気づけるのはお母さんだけ

――小児科を受診するお母さんたちに伝えたいことは?
これは私が医師になって2年目のときの話です。生後数週間の赤ちゃんを連れてきたお母さんが、「いつもと違って赤ちゃんの目がピクピクする」と言うんですね。一見したところ問題がないように見えたので、大丈夫ですよと伝えて帰ってもらったんですが、同じ日の午後にまた来院し、ピクピクの頻度が増えたと言うんです。念のために血液検査や胸のレントゲンも撮りましたが問題ありません。「あとできる検査はCTくらいですが…」という段階まできてもお母さんは一歩も引かないんです。結局CTも撮ることに。すると、驚いたことに、脳の半分に出血があることが分かったんです。まだ自分の臨床能力が低かったことが原因だったと深く反省しました。ピクピクは脳内の出血による痙攣だったんですね。

お母さんって毎日子供をその子をみているので「いつもと違う」ということに誰よりも気づきやすい。だから「なんとなく、ちょっと変だな」感じたら、ぜったいに病院に連れてきてほしい。そこで大丈夫と診断したり、なにか疾患を見つけるのは医師ですが、いつもと違うことに誰よりもはやく気づけて、子供を救えるのはお母さんだけだと思っています。「お母さんの勘」をどうか大切にしてほしいです。

もちろん、医師としては、どんなときも見落としがあってはならないと思っています。野球でいうと、ホームランバッターではなく、ゴールデングローブ賞を目指すべきだと考えています。「ぜったいにエラーをしない」ということ、それが医師にとってもっとも大切なことかな。「神」だなんて言われる必要はありません。一人一人の患者と丁寧に向き合い、患者さんに説明をして自分にリマインドしながら、確実にエラーのないよう、これからも診療を続けたいと思っています。

先生の横顔

 カナダやアメリカの大学病院で勤務していた百々先生は、外国人の患者さんの診察を他院から頼まれるほど英語がご堪能ですが、3年前から新たにイタリア語を学んでいます。毎日欠かさず教材と向き合い、週1回のレッスンで知識の定着度を確認。年1回のイタリア旅行では、観光より会話力磨きについ力が入るそう。イタリア語で患者さんを診察できるレベルになることが目標だそうです。

SPOT INFO スポット情報

こどもの木クリニック

小児科 児童精神科
所在地 都筑区荏田南3-1-7
TEL
アクセス
  • 江田駅より徒歩16分
  • または江田駅よりバス 荏田高校前下車徒歩3分

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