
院長 山田 俊彦先生
北里大学医学部卒業後、北里大学院小児科入局。海老名総合病院、千葉県立こども病院などに勤務。北里大学病院、社会保険相模野病院新生児科部長を経て、2007年森の子キッズクリニック開院。日本小児科学会認定小児科専門医。
子供だけでなく、家族にも優しい診療がモットー
大きな窓からさんさんと日の光が射し込む「森の子キッズクリニック」。その名の通り、森や木をイメージした院内は温かな雰囲気です。院名に、治療にくる子供たちに早く元気になって緑のなかを駆け回って欲しい、という想いを込めた院長の山田先生は、大きな病院のNICU(新生児集中治療室)で、様々疾患を持って生まれてきた子供たちの治療に約20年に渡って携わってきた経歴の持ち主。まさに子供の病のエキスパートなのです。
父の背中を見て志した小児科医さまざまな「医療の現場」を経験
――小児科医になられた経緯を教えてください。
小児科の開業医として地域に密着した治療を日々行う父の背中を見て育ち、幼い頃から「自分も父のように医者になるんだ」と思っていました。自宅と医院が棟続きだったことも手伝って、父は昼夜問わず患者さんを診察していましたし、よく往診にも出かけていたんです。そういった姿が医者として当たり前なんだと思っていましたね。
――研修医時代はどのようの過ごされたのですか?
大学病院での研修医時代はとにかく睡眠時間が短いのが辛かった(笑)。カンファレンスでも何でも、座るとすぐに寝てしまうような状態でした。点滴を打ちながら回診するなど多忙を極めていましたが、充実していましたね。うってかわって、僻地研修では、3か月ほど長崎対馬の離島に派遣されました。島には病院が2つしかなく、午前中に15人ほどの患者さんを診察した後、午後からは生徒数4~5人の学校を回って予防接種や健診を行うような生活でした。島の皆さんもとても優しい方たちばかりで、今でもとてもいい思い出です。
NICU(新生児特定集中治療室)で学んだ 病を治すだけではない、一歩踏み込んだ医療の形
――いろいろな「医療の現場」があるのですね。その後、山田先生は「新生児医療」へ進まれたのですね。
本格的に救急医療の分野に進むか迷っていたとき、恩師に「自分の専門分野を持って救急に来て欲しい」と言われ、まずは小児科に進みました。「循環器」「消化器」というふうに専門が細分化してしまう内科と違って、小児科はすべての科を診察する必要があります。そういった点も魅力のひとつでした。父の専門が小児科だったことも大きいですね。
その当時、集中治療室で働いていたことに加えて、新生児医療、未熟児医療への情熱も手伝って、小児科のNICU(新生児特定集中治療室)での勤務を選びました。それこそ朝から晩まで働き通しで、文字通り目の回るような忙しさでした。
低体重や重い病気の赤ちゃんとともに色々な想いを抱えたご家族が多く来院される場所だったので、そこでメンタル面もふくめて、その方たちのケアをどうしていくのかを考えるのも小児科の仕事だと実感したんです。どの科もそうだとは思いますが、特にNICUでは、患部の治療だけではなく、倫理面などさらに踏み込んだケアが必要な場面にたくさん遭遇しました。とても辛い思いをしたこともありましたが、一緒に悩んでくれるスタッフ、指導者に恵まれ、本当にたくさんのことを学びました。
生まれ育った地で、 小児医療にかける情熱や想いを形にしたクリニックを
――森の子キッズクリニックという院名、院長先生のお人柄通り温かみがありステキですね。どのようにつけられたのですか?
私は生まれも育ちも、ここ緑区なんです!今もなお四季の森公園など、豊かな自然が多く残る緑区ですが、私の子供の頃は、もっともっと森や野原や田んぼがたくさんあって、毎日のように川遊びをし、野山を走りまわり、自転車でどこまでも行ったものです。空き地で友達と野球をしたのもいい思い出です。
なので、2007年に父からこの医院を受け継いだとき、自然いっぱいの緑区のイメージに加えて、子供たちに「元気に健康に育ってほしい」「早く病を治して自然のなかでたっぷり遊んでほしい」という願いを込めて名付けました。
――クリニックのこだわりをお聞かせください。
治療に訪れる子供たちはもちろん、そのお父さん、お母さんの想いも汲み取りつつ診療にあたっています。ゆっくり丁寧なアドバイスが必要なこともありますから、限られた時間のなかでも、出来る限り不安を取り除くような対応をするように心がけていますね。そして自分の専門分野である小児科に関しては、日々最先端の知識を学ぶ姿勢を持ち、経験を積みながら成長を続けたいと思います。そのために、自分の健康維持にも努めたいですね!
内装に関しては、ベビーカーや車いすなどのお子さんの来院を考えて院内をバリアフリーにした点と、リラックスしてご家族と対話できる温かみある診察室作りをした点ですね。NICUでの勤務医時代に、障がいを持つ子供たちを多く診察してきたこと、入院している子供たちのご両親と深い話をする機会が多く、少しでも話やすい環境を提供したかったことから、この2点には特にこだわりました。
――小児科に加え、子供たちにとっても身近なアレルギー科も掲げていらっしゃいますね。
一言に「アレルギー」と言っても、その症状はさまざまです。また、治療がはじまると長期にわたることが多いので、まずは、本当に治療が必要なアレルギーかどうかをしっかりと見極める必要があるんです。血液検査の必要性についてもしっかりと説明を行い、来院されたおかあさんたちが混乱しないよう、配慮しています。
離乳食やアレルギーの代替食に不安を感じる方も多いと思うので、月に2回、栄養士による栄養相談も行っているんですよ。
――日々、子供たちの健康のために奮闘していらっしゃる山田先生ですが、どのように息抜きをされていますか?
趣味はスポーツと読書です。子供たちとスポーツを楽しみ、遊んでいる時間が一番楽しいですね!5~6年前からマラソンを初めたんです。東京マラソンの10倍の倍率を乗り越えての当選を勝ち取って、これまでに横浜マラソンに2度出場しています。運動をはじめてからは肩こりが解消され、体調もよく、いいことずくめですね!
読書も好きで、好んで読むのは冒険小説です。最近では、船戸与一先生の『満州国演技』がおもしろかったなぁ。
――最後に、子育て世代のママたちに一言お願いします!
「今のままでいい」と思うんです。がむしゃらだった昔の日本とはまた違って、今はとても落ち着いた時代だと感じます。そして何より、お父さんも子育てに積極的!土曜日の診療に子供を連れてくる保護者の方の3分の1はお父さんですが、我が子のことをよく理解しているなぁと感じます。子供たちもお父さんによくなついている。いい時代になってきているなぁ、と診察を通して日々感じているんです。
先生の横顔
最近の趣味はジムでトレーニングをすることだそう。運動を始めてからは、それまで悩みだった肩こりが解消され、体も軽くなりすっかり体調が良くなったといいます。さらに、2015 年は横浜マラソンに参加することができ、見事完走したそう。「ゆっくりですが、走りきることができて良い経験になりました」。今後も、ご自分のペースで楽しみながら運動を続けていきたいそうです。
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