鉄道好きならずとも見ていて楽しい、鉄道模型のジオラマがあるクリニック。院内の待合室やネプライザー治療も鉄道が動いているのを見ていたらあっという間だった!との声が多いのも頷けます。一人の医師で診られる範囲の患者さんを責任を持って診るとの信念からは、正面から患者さんに向き合う誠実な先生の人柄が伺えます。先生は中耳炎や顔面神経麻痺などの治療をする中耳外来が専門で、30年以上のキャリアがあります。
「定番の治療」を大事に。患者さんの「楽になった」「ありがとう」は医師冥利に尽きます
――この地に開業された理由を教えてください。
出身は東京・葛飾区なのですが、聖マリアンナ医科大学病院の医局時代に夜間だけ開業していたクリニックを手伝った縁で、この地域に耳鼻咽喉科が必要とされている事情がよくわかったのもあり、地域の役に立ちたいとの思いで開業しました。
気軽に立ち寄れる存在になることを理想としています。風邪や喉の痛みなどの大きな病気ではなくとも、いつもと違うなと感じたらコンビニに立ち寄るくらいの気持ちで受診してもらって「楽になった」と言っていただけると嬉しいですね。
――先生が医師になってよかった!と感じた症例を教えていただけますか?
私は聖マリアンナ大学病院などで約30年、中耳炎や顔面神経麻痺などを治療する中耳外来を専門にしています。重篤な例を含め、多くの患者さんの治療にあたってきました。
開院して間もないころだったのですが、80代くらいの男性患者さんが海外旅行先で口から血を吐いたとおっしゃったんですね。診察させていただくと下咽頭がんということが分かり、すぐに聖マリアンナ医科大学での精密検査をおすすめしたんです。その後別のがん専門病院で手術をされました。男性は声を失うことにはなりましたけど、命を取り留めることができたとお礼を言われたことは忘れられないですね。
また、40代の男性が舌にできた口内炎がなかなか治らないと相談に見えました。歯科医院では口内炎といわれたというのですが診察によって舌がんであることがわかりました。年の瀬も押し迫った時期で病状も進んでいたこともあり、なんとかその日のうちに聖マリアンナ病院で診察ができるよう手配したのも記憶に新しいです。この患者さんも命をつなぐことができ、非常に感謝されました。本当に良かったと思います。
――診察で心がけていることはありますか?
時間の制約もありますが一人一人にじっくり向き合うことを理想としています。「百聞は一見にしかず」。診察のときには顕微鏡やファイバースコープの映像を患者さんと一緒にみながら症状を説明していくようにしています。
患者さんは自分の目で確認できますから自分の状態が理解しやすいですよね。理解してくれれば治療へ前向きになってくださいます。また、「最新の治療」というより、昔から行なわれている「定番の治療」を大事にしています。長く選ばれている治療というのは効果があるからこそずっと使われている治療だという思いからです。
ちょっとしたことでも相談して貰えるクリニックを目指しています
――来院する子供たちに多い症状は何ですか?
患者の半数近くが小学生以下の子供たちです。子供が風邪をひいたあとにかかりやすい急性中耳炎、何度も急性中耳炎を繰り返す反復性中耳炎などが多いですね。小学校の低学年ぐらいまでの子供たちは抵抗力が弱いためかかりやすいので注意が必要です。
鼻水がなかなかとまらないとき、放っておくと中耳炎になりやすいので、鼻をしっかりかんでください。ひどくなる前に治療できるよう、早めに来院してくれたらと思います。赤ちゃんの場合はまだお話もできませんから、耳をしきりに触る、聞こえが悪いなどのサインが見られたら、すぐ相談してください。
――最近増えているな、と感じる相談はありますか?
お子さんのいびきや無呼吸症候群を疑って来院される患者さんが増えていると感じます。鼻呼吸ができないことが原因の一つになっているんですね。口呼吸になってしまうのは、鼻が悪いのが原因なんです。鼻呼吸がしっかりとできるようになれば、かかる病気のリスクも大きく減らせます。そのためには、日ごろからしっかり鼻をかんだり、クリニックで鼻水をこまめに取り除き鼻通りを良くしておくことが大切です。また、点鼻薬と飲み薬の併用で鼻の中の炎症を鎮めることでいびきは改善することもありますから、気軽に受診してください。
父の背中を見ているうちに自然と医師を目指しました
――医師を志したきっかけ、耳鼻咽喉科の医師になった理由を教えてください。
父も耳鼻咽喉科を開業していたんですが、住居と一緒だったので、私は父親の仕事を近くで見て育ちました。本格的に医者になろうと決めたのは大学入学前になりますが、小学生のころからなんとなく、これというはっきりとした理由があったわけではないんですけど、医師になろうとは思っていたんでしょうね。子供心に医師の仕事は人の役に立つ仕事だということ、人の命を救うことができる仕事だということに魅力を感じていたんだと思います。
耳鼻咽喉科を選んだのも意識したわけではないんですよ。内科と迷ったんですが、父の仕事をみてきて、どのような患者さんがきて、どのように治療をするのかなどイメージしやすかったのは間違いないです。今は亡き父親の影響なんでしょう。
――お休みの日の過ごし方を教えてください
スポーツ観戦、中でも「陸上」の大会を観るのが大好きです。私には3人の子供がいるのですが、末っ子である次男が陸上の選手なんですよ。中学生のころ横浜市の大会に4×100mリレーで出場し見事優勝、神奈川県大会でも2位になりました。現在は400mハードルの選手として練習に励んでいるので、応援しています。
インターハイに出場するには上位入賞が必須なので厳しいでしょうが、目標に向かって頑張って欲しいと思っています。陸上の大会にはできるだけ出向いて、そばで応援しています。
――院内の鉄道模型は先生が製作されてるんですか?
鉄道模型の趣味は小学校時代から続いている趣味ですね。いわゆる「てっちゃん」です(笑)。乗る、撮るではなく、専ら「作る」ことが好きなんです。今はもう走っていない国鉄時代の列車が特にいいです。
最近の電車と比べると見た目に派手さはないが、丈夫で長持ちというところが好きですね。クリニックの待合室やネブライザーに飾ってあるジオラマは私が半年ほどかけて製作したものなんですよ。「模型をここで初めてみた」という子供たちの声をよく聞くんですけど、模型の面白さを知ってもらって、好きになってもらえたらうれしいと思います。
耳鼻咽喉科では医療機器を使用することが多いので、子供たちが恐怖を感じてしまいがちなんですけど、電車が怖さを和らげる一助になればと思っています。子供だけでなく、大人でもね、喜ばれる方がいるんですよ。「列車が見たいからまた来ました」という人もいて、それはそれで嬉しいです。
▲院長 佐久間 惇先生(佐久間耳鼻咽喉科クリニック:神奈川県川崎市宮前区)
聖マリアンナ医科大学医学部卒業、同大学院博士課程修了後、京浜総合病院勤務、聖マリアンナ医科大学耳鼻咽喉科医長などを経て、2001年に佐久間耳鼻咽喉科クリニックを開院。日本耳鼻咽喉科学会認定耳鼻咽喉科専門医。
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佐久間耳鼻咽喉科クリニック
所在地 | 神奈川県川崎市宮前区菅生2-1-6 日向園ビル1F |
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