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國學院大學人間開発学部による「子育てエッセー」
教育が抱えるさまざまな問題と向き合いながら、子どもたちの健やかな成長を考えます。

2018年 No.18

お母さんの声で 読み聞かせを―心にしみとおるひとしずくをー

國學院大學 人間開発学部  初等教育学科 成田信子(なりた のぶこ)教授

國學院大學 人間開発学部  初等教育学科 成田信子(なりた のぶこ)教授
お茶の水女子大学附属小学校教諭、同大学非常勤講師、関西国際大学准教授を経て現職。専門は言葉の教育、国語教育、文学教育。子どもたちがおはなしをどのように受け取り、自らの糧として成長していくのかを主な関心としている。

〈声や仕草で伝わる〉

横浜の子育て支援施設や保育所、幼稚園、小学校に、学生と絵本の読み聞かせに通っています。「絵本キャラバン」と名付けた活動です。子育て支援施設ではお母さんが子どもといっしょにおはなしを聞いてくれます。聞きながらお母さんが笑ったり、驚いたりすると、子どもたちもまた嬉しそうにしたり、じっと絵本を見たりします。

お母さんの仕草や声が子どもたちを包んで、子どもたちはおはなしの世界に引き込まれるようです。おはなしが好きな子はぐっと前に来ておはなしを聞くこともありますが、時々後ろのお母さんの方を見ては反応を確かめます。

学生との読み聞かせの一幕は、日常の子どもとの接し方にもヒントを与えてくれます。お母さんの声で読み聞かせをし、お母さん自身が楽しむと、おはなしの世界がまるごと子どもたちに伝わるのです。「まるごと」と表現しましたが、子どもがすみからすみまで意味をつかむということではなく、声のトーンや表情、仕草で感じ取るということです。

今は電子メディアが発達して、例えば録音されたテープでおはなしを聞くこともできますが、子どもとつながっている親や養育者や教師が自らの声で読むことに大きな意味があります。

〈心にひとしずく〉

幼年童話を書いている、あまんきみこさんにお話を聞く機会がありました。あまんさんの「おにたのぼうし」「白いぼうし」「ちいちゃんのかげおくり」は小学校国語科の教科書に載っています。原作の絵本や単行本は、ほんとうに多くの子どもたちに読まれてきました。あまんさんは幼年童話について、今はわからなくても、心にひとしずくなにかがしみとおっていけばよい、とおっしゃっていました。
「おにたのぼうし」では、鬼の子のおにたが節分の日に豆まきで追われて、豆のにおいのしない家に行き、病気のお母さんの看病をする女の子に出会います。おにたはぼうしで角を隠して、女の子に食べ物を運び幸せな時間を過ごします。でもその女の子が「みんな豆まきすんだのかな」と言うのです。おにたは姿を消します。

幼年の読者、小学生の読者、中高生の読者、大人の読者とそれぞれ受けとるものはちがうでしょうが、それぞれの年代でしずくのように心に落ちていくものがあるでしょう。読み聞かせによってお母さんの感動が静かに伝わることもあると思います。
お母さんの読み聞かせで心にひとしずくを、と願っています。

お母さんの声で 読み聞かせを―心にしみとおるひとしずくをー
國學院大學 人間開発学部  初等教育学科 成田信子(なりた のぶこ)教授

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