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連載記事 午後の散歩道
山田りかのハートフルエッセイ

プロフィール:某酒類メーカーに勤務するかたわら、ママ達の日々の暮らしを見つめる勤労作家。年齢不詳。いくつになっても、竜也の前では乙女です。

No.35

散歩道から “オリンピック まとめ”

『午後の散歩道』に、ようこそ!

9月になりましたねェ。 お元気ですか?
私はいまだにオリンピックの余韻から抜け切れず、軽~い 燃え尽き症候群…。
開催前は「なでしこが出ない五輪なんて!」と思っていたのに、気がつけば12時間の時差を越え、連日 地球の裏側で繰り広げられる闘いに、胸を熱くしていた。

このキリスト像を、毎日のように見ていた。

ということで、今回はオリンピックの興奮を再び! 散歩道風 “オリンピック まとめ”いってみよう~!!

1. 世界髪型図鑑

私がオリンピックを見て、一番「楽しい~♪」と思えるのは、競技する選手達の多様性。 206の国と地域から、11,000人以上のアスリート達が、「メダル、獲るぞ~!!!」と、リオ・デ・ジャネイロに集結したのだ。

そりゃあもう いろんな人種の、いろんな髪型の選手達を見るだけで、地球って広~い!!と思えるのである。
※「図鑑」といいつつ五輪は著作権が大変厳しいので、残念ながら画像は出せません。見たい方は是非!検索プリ~ズ。

世界のアスリートが集うオリンピック、ガチの勝負!

まず面白い髪型で世界中をアッ!と言わせたのは、サッカー女子ジンバブエ代表の12番、マージョリー・ニャウムウェ選手だ。
硬~く編んだドレッド・ヘアが頭全体に10本ばかり、アンテナのように立っている。
ヘディングしたらどーなるの!? と素朴な疑問を抱いたのは、私だけではナイはずだ。
予選リーグでは、今回金メダルのドイツに6-1で大敗したのだが、試合後にドイツの選手たちが代わる代わる、彼女の髪を触っていたのが面白かった。

面白い髪型といえば、前回のロンドン五輪、柔道女子78㎏超級の金メダリスト、キューバ代表のイダリス・オルティス選手が忘れられない。当時、決勝戦に臨んだ日本代表の杉本美香選手が「ナニあの髪型!?」と思わず集中を乱されたという赤と青の鳥の羽の編み込みヘアーで畳に上がり、杉本に勝利したあの選手である。
今回、リオの決勝戦の会場に現れた彼女の、赤・青・白のキューバ・カラーのドレッド・ヘアを見て、私はなぜだか胸が熱くなってしまった。
試合はフランスのアンデオル選手の一本勝ちでオルティスは銀メダルとなったのだが、表彰台の左端でニコニコ微笑む彼女の笑顔は、とても潔く、可愛らしかった。

体操男子種目別、あん馬の銀メダリスト、イギリス代表のルイス・スミスは、ロング・モヒカンを頭上でおだんご風に束ねたユニークヘア。 筋肉隆々のユニフォームの背中には、何やらタトゥも垣間見える。 それでいて演技は正確な美しさ。 体操界も変わったものだ~。と思わせるイケメンアスリートである。

陸上女子400mで優勝したバハマのショーニー・ミラー選手はレースのラスト2mでヘッドスライディングのようにゴールラインへ倒れ込み、金メダルをもぎ取った。
彼女の長い黒髪は、下半分がペパーミントプルー。バハマの国旗と同じ、カリブの海の色である。ゴールドメダルを手に微笑む彼女は、まるで陸上のマーメイド!

男子400mリレーは、本当に興奮しました!

ミラー選手とは対照的に、昭和のおばちゃんを彷彿とさせ、世界を驚かせたのは、53歳の卓球女子、ルクセンブルグ代表のニー・シャーリエン選手。 華美な装飾を一切省いた機能的なショートヘアは、大阪や東京の下町で今も見かける愛すべき「おばちゃん」そのものだ。 20代で祖国中国を出て、卓球ラケット一つでドイツからルクセンブルグへと行き着いた彼女は、無駄な動きのない老獪なプレイスタイル。 メダルこそ逃したものの、3回戦まで進んだ世界トップレベルのアスリートである。スマッシュを決めた時、身をよじって「キャッ♪」と喜ぶ姿が、なんとも愛らしい選手だった。

ドレッドヘアの柔道男子、90㎏級のポポル・ミセンガ選手は、難民選手団から出場の柔道家。紛争中のコンゴから逃れ、開催国ブラジルで研鑽を積んだ。初戦の試合でインド代表の選手に関節技を決められたが「参った」をせず、背負い投げで逆転勝利を収め、1勝を果たした。 彼は試合後に、コンゴで生き別れた兄弟へ「僕は元気に生きている。気づいたら連絡してほしい」とメッセージを送った。ミセンガ選手は2戦目に敗北したが、会場から沸き起こったあの万雷の拍手と声援は今でも忘れられない。観客に見送られ、会場を後にする彼の姿は、清々しく輝いて見えた。

2. 姉さんたちのオリンピック

日本選手団で活躍が目立ったのは、東京五輪を担う若きアスリート達。
「ひねり王子」こと体操男子の白井健三選手は、団体の金メダルを決めた床の演技に入る前、右手を上げて、まるで高校の部活男子みたいに「ハイ!お願いします!!」と言っていた。
卓球男子のエース水谷隼選手は、激闘の末に勝った試合では必ず床に仰向けに倒れていた。

もちろん彼らは 日本の宝、世界屈指のアスリート。なのに、あの親しみやすさはどうだろう。 もし私の高校時代の教室に水谷選手がいても、まったく違和感がない。横浜出身の白井選手のことを話す時などは「ウチの健坊がねぇ」と、年の離れた末の弟みたいに語りたくなってしまうのである。

そんな物凄く強いのに親しみやすいアスリートの代表格が、今回のオリンピックで日本中を感動させた3人の姉さんたち。
卓球女子の福原愛選手、レスリング女子の伊調馨選手、そして日本選手団の団長を務めた吉田沙保里選手だ。 彼女たちはすべて、今回が4度目の五輪である。

テレビで4才の「泣き虫愛ちゃん」を初めて見た時は、泣き顔の愛くるしさと子どもとは思えない機敏なラケットさばきに、全国のお茶の間が釘付けになったものだ。
その愛ちゃんが、今回のオリンピックでは、日本卓球女子の姉さんとして活躍しているのだから、日本全国のお茶の間が、「ウチの愛ちゃん!」を応援するのは自然のなりゆきといえよう。

ちっちゃな選手だった活躍できる。それが卓球!!

彼女は今回、残念ながらシングルでのメダルを逃し、団体戦でも十分に実力を発揮しきれなかったけれど、団体チームの姉さん役として果たした役割は大きかった。
ダブルスを組んだ伊藤美誠選手が、スマッシュを決めてもミスをしても、「うん、いいよ大丈夫!」と同じ優しさで声をかける姿は微笑ましく、心がじわっと熱くなった。

今大会で4連覇の偉業を成し遂げたレスリング女子58㎏級の伊調馨選手は、2学年上の吉田沙保里選手に比べると、輝かしい実績のわりにメディアへの露出もほとんどなく、一匹狼的なクールさを漂わせている。

2004年アテネオリンピックで女子初の金メダルを獲得した時、彼女はまだハタチで、本当に弾けるような若さと強さにあふれていた。同大会で銀メダルに終わった姉の千秋選手の分も、「絶対に金を獲る!」と言って有言実行した、家族思いの妹、という印象だった。

それから12年が経ち、4連覇を賭けた闘いの場に現れた彼女を見た時、私は、この人は孤高の女王なんだな、と思った。
伊調選手の母親は、2012年に自宅で倒れ、脳挫傷で急逝した。
今年1月、国際大会で伊調選手はモンゴルの選手に大差で敗れていた。

長年にわたり挑戦者を退けてきた彼女の身体は故障だらけ。
彼女は両肩に痛み止めの注射を打って、決勝戦のリングに上がった。対戦相手は23才のロシア代表コブロワゾロボワ選手。試合は残り4秒で伊調選手が逆転し、勝利を収めた。

勝利後のインタビューで、彼女は
「こんなに天井を見上げたオリンピックはなかったです。最後の最後は、お母さんが助けてくれたと思います」と語った。
彼女のお母さんは、「勝たせてくれた」のでも「力をくれた」のでもなく、天国から彼女を、助けてくれたんだなぁ、と思った。

伊調選手の4連覇、凄かった!!!

さて、オリンピックで頑張った姉さんのラストはもちろん! 今大会の日本選手団団長にして「霊長類最強の女」と謳われた 吉田沙保里選手!!
もう~、ホントに。決勝で敗れた時の彼女の涙を見た時は、涙腺決壊(T_T)。
決勝戦のあと、
「日本選手の主将として金メダル獲らないといけないところだったのに、ごめんなさい」
という彼女の言葉に、「そんなこと言わないで! 」と泣きながらテレビの前で叫んだ人は、いったいどれぐらいいただろう。
あ~。これを書くためにビデオ再生した私も、また涙が~(泣)

ご存知の通り、レスリング女子が五輪の正式種目になった2004年のアテネオリンピックから、彼女は3大会連続で金メダルを取得した。
2001年から国際大会では206連勝の記録を保持する。
ロンドン五輪の時は 開会式の旗手を務め、「旗手を務めた選手はメダルを獲れない」というジンクスを打ち破った。

「サオちゃんみたいになりたい!!」と憧れた女の子達が、五輪の舞台へと上るまで、吉田沙保里は勝ち続けた。
15年間ずっと勝ち続け、負ける姿まで、きちんと見せた。

今回初めて五輪に出場した登坂絵莉選手は、先輩の吉田から
「オリンピックには魔物が棲むっていうけど、絵莉、それは心なんだよ」
と言われ、気持ちを静かに引き締めたという。

吉田沙保里選手が、決勝戦のマットに崩れ落ちたとき、一番激しく泣いていたのは登坂絵莉だった。

スタンドで見守っていた母と兄に抱きつきながら、吉田選手は
「お父さんに怒られちゃう」と言って泣いた。
「大丈夫、泣かんでいい。ここまで連れてきてくれたんだから。ありがとう!」
二人はそう言って彼女を抱きしめた。

きっとその時、日本中の人達が、同じことを思っていた。
「サオちゃん、ここまで頑張ってくれて、本当にありがとう!!」

スタンドにも、たくさんの日の丸が見えた。

3. 大会コラージュ

オリンピックは世界で一番大きくて楽しいスポーツの祭典。
あんな事やこんな事。たくさんあり過ぎて、とてもじゃないが語り尽くせない。
1泊2日で『語るツアー』の温泉旅行を企画したいくらいだ(笑)

五輪特集、最後は 語りきれない名シーンのほんの一部を、コラージュ(切り絵)的にまとめてみよう。

◆ウエイトリフティング女子48㎏級で銅メダルを獲得した三宅宏美選手が、試合後にバーベルを「撫で撫で」した時の、テーピングだらけの小さな手。

◆7人制ラグビー男子で、金メダル候補の王者ニュージーランドから奪った、後藤選手の最初のトライ。

◆柔道女子57㎏級で『野獣』と言われた松本薫選手が、「(銅メダルは) 嬉しいのと悔しいのと、甘酸っぱいメダルです」とコメントした時の、甘酸っぱい笑顔。

◆体操男子団体決勝、床の演技で「後方伸身4回ひねり」を決めた白井健三選手の、演技直後に「ヒュ~」とついた溜め息。

◆表彰式に上った白井健三選手が、授与された記念品を見て「コレ何ですかね。歯ブラシ立て?」と隣りの加藤凌平選手に聞いた天然っぷり。

◆卓球女子団体戦で、福原選手の試合中、声援を送りすぎて退場処分になったあとの、石川佳純選手の口真一文字。

◆バドミントン女子ダブルス金メダルの高松ペアが、優勝を決めて抱き合った時の、高橋礼華選手のオリンピック・ネイル。

◆世界ランク4位のナダル選手と激闘の末に銅メダルを手にしたテニス男子錦織圭選手が、試合のあとに天を仰いだ時の、日に焼けた横顔。

◆シャキーン!とサムライポーズで登場した陸上男子4×100mの4人が、爆走して勝ち取った銀メダルの37秒60。

◆そのレースで金メダルを獲ったウサイン・ボルト選手が、日本の4人に自分から握手を求めた時の、大きな右手。

◆そして、どの試合の どの競技でも、礼儀正しくフェアに戦った、すべての日本人選手の、小さな身体に宿る、美しいスポーツマン精神!

この2人を見ているだけで元気が出た。 感動をありがとう!!

いかがでしたか? この夏、地球の真裏で行われた熱きスポーツの祭典。
閉会式では、和服姿の小池都知事が、五輪の旗を振ってましたね。
この感動を胸に、引き続き パラリンピックを応援しよう。

そして次の大会は4年後の、東京だ!!

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