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連載記事 午後の散歩道
山田りかのハートフルエッセイ

プロフィール:某酒類メーカーに勤務するかたわら、ママ達の日々の暮らしを見つめる勤労作家。年齢不詳。いくつになっても、竜也の前では乙女です。

No.20

男の子の話

『午後の散歩道』に、ようこそ!

気持ちのいい季節になりましたね♪
この散歩道の向こうにも、風に泳ぐ鯉のぼりの姿が見える。
会社を辞めて、英語修業の日々を( もがきながら>_< ) 過ごしているけれど、移りゆく季節の美しさには、目を向けて歩いてゆこうと思っている。 さて今回は、3月掲載の『女の子の話』に続き、 端午の節句にちなんだ 男の子の話。 出産・子育て経験のない私だが、甥と姪(兄の子ども達)がいるため、男の子と女の子、両方の成長を、身近に感じながら生きている。 人 一人育てていくことの責任から比べれば、叔母の視点など、まったく軽いものに違いないのだが、男の子も女の子も、どちらも面白く 愛おしいものである。 幼い頃の、ウチの甥っ子・姪っ子。ああ可愛い!

短大時代の友・H美の長男Kくんは、容姿端麗な両親のDNAを受け継いだイケメン男児。 関西に嫁いだH美が、子供連れで里帰りした際、結婚式にも参列した仲良しグループで 彼女の実家へ遊びに行った。
「ハイ、プレゼント」
「おねえちゃん、ありがとう」
「Kくん、コレなぁんだ」
「おばちゃん、これ飛行機だよ」
会話をしながら、私は
(こ、この子ってば、スゴイ!)と感心してしまった。

当時の私達は 未婚女子と既婚女子が混じっており、KくんはH美から教わった通り、私のことは「おねえちゃん」、結婚して子どもがいるM子には「おばちゃん」と 呼称を使い分けていたのだ。
そのうち未婚・既婚のお喋りが入り乱れてくると、Kくんも私を見て
「おネ、おバ、おネ、おバ…」と口ごもってしまったが。
「この子は将来、モテるねー」
困り果てて大きな目をパチクリさせるKくんを見下ろして、私達はうなづき合ったものである。

お姉さんか オバサンか、どっちなんだ!

……で。 その子は現在、ハタチを過ぎて親元を離れ、服飾デザイナーを目指して修業中とのこと。 成長したKくんは、写真で見るとギンギンにスタイリッシュで 少々近づき難い雰囲気を放っているけれど、あの日「おネ、おバ、おネ、おバ…」と口ごもった繊細な優しさは、彼の作る服にも、ちゃんと反映されているに違いない。

Kくんといえば もう一人、高校時代の友・KPの長男もKクンだ。
こちらのKクンは幼い頃からの読書好き。
そして彼が小学生の時、爆発的に流行ったのが 『ハリーポッターと賢者の石』だ。
主役のハリーと同じ11才だったKクンは、あの2段組みの分厚い本を、夢中になって読み始めたそうだ。
私も「どんなもんじゃ?」と1巻だけは読んでみたが、児童文学としてはかなりダークな作品、という印象だった。
特に 闇の魔法使い・ヴォルデモードが、神経質なクィレル先生の身体の一部から顔出ししちゃう、あの おっかないラストシーンは、
(こ、これは!! ……子どもが読んだら うなされちゃうんじゃ!?)
と危惧したものだ。 以来、私はこのシリーズは映画で観ることに決めたのだが……。

読書好きの子どもは、今でもちゃんといます!

「もう、怖い 怖いって、大変だったわよ〜」
KPは当時の息子のおびえ具合を思い出し、苦笑いした。
「そんなに怖いなら、読むのやめなさい、って言ったんだけどサ」

途中でやめたら、想像が膨らんで もっと怖くなる(>_<)と母の助言を退け、Kクンは結局、最後まで読み切ったという。 原作者のJ・K・ローリングには、日本の片隅で歯を食いしばりながら 読破した少年がいたことを、是非とも知ってほしいものだ。 Kクンは、その後 読書とサッカーを愛する青年に成長し、この春から 私がこの間まで働いていた食品会社に就職した。 すれ違いになってしまったが、豊かな感性をもったKクンの活躍を、ずーーーっと離れた先輩として 見守っていきたいと思う。 可愛い後輩つながりで思い出すのは、酒豪の後輩女子Nちゃん。 会社在籍中、酒にまつわる数々のオモシロ伝説を残した彼女は、やがてラグビー仕込みの豪快な男子と結婚し、元気な男の子・Rくんを出産した。 Rくんはまだ7才ゆえ、どんな酒豪になるかは将来の楽しみなのだが、時折facebook に飛び込んでくる彼の姿に、私は毎度 目を細めてしまう。 2年前のある日、Rくんはラガーマンだった父親に 「縄跳び10回連続して飛べたら、タンタンに連れてってあげる」 と言われ、奮闘努力の末、目標を達成した。 タンタンというのは、Nちゃん夫妻が独身時代から通っていた横浜某所のラーメン屋さんの名前で、ニンニクが猛烈に効いたラーメンが有名な店である。 父に連れられ、意気揚々とやってきたRくんを、店の大将がめっけて、憧れのタンタンへと向かった写真がコレ。 昭和の香り漂う ツーショット。絵になるなぁ。

年季の入ったラーメン職人と、手を引かれて歩く少年の後ろ姿……。
これぞ日本の 詩情あふれる光景というものではないだろうか。
別の日の投稿には、漢字のテストを受けたRくんの解答が。

この回答に、花丸をつける先生のセンスも素敵!

『糸』のつく字を使った文章→
        つりざおの糸が体にまきついてしまった!

『女』のつく字を使った文章→
        女子は かわいい

ね? いいでしょう、この答え◎
伸び伸び少年Rくんの成長は、私の人生の楽しみの一つである。

ところで、最初に登場した「おネ、おバ…」のKくんには、弟が2人いる。
母親である私の友・H美が、関西に嫁いだことは先に述べたが、彼女は2番目の息子の妊娠中に、神戸の震災で被災した経験をもつ。
幸い 家族は無事だったものの、家の内外はメチャクチャになり、4才の長男と 妊娠3か月のお腹を抱えたH美の苦労は、大変なものだったと思う。

震災がようやく落ち着いた頃、私達は実家に帰郷中の彼女と会うことができた。
どれだけ心労があったかと思うのだが、H美は いつもの笑顔で、
「みんな、ありがとー!」と、生まれたばかりの二男R太朗くんを私達に 見せてくれたのである。

「大地震にも負けずに、生まれてきた子なんだねェ」
私達は、囲炉裏(いろり)の火を囲むようにして、フクフクまん丸な新生児をみつめ、ちっちゃな命の逞しいあったかさを感じたのだった。
R太朗くんは現在、サッカーチームのボランチとして ピッチを駆け巡っている。

そして男の子の話のトリは〜!
H美の3番目の息子Y。 この子の誕生を知ったのは、いろりのR太朗が生まれてから10年後のことだ。

2年前、Y少年が描いた 奈良の鹿。ひづめがリアル!

その頃はまだLINEやfacebook のようなSNS は普及しておらず、近況を知るのは、日本の昔からの伝統、年賀状が主流だった。

あれは忘れもしない10年前の元旦のこと。
H美から届いた、元気な家族写真を眺めているうちに、ふと小さな違和感を覚え、「ん?」と目をこらす。

4人家族の笑顔が、……ごっ、5個に増えてるー!!

手書きのメッセージには、「我が家に天使が舞い降りてきました〜」という文面。 その場でケータイを開き、問い合わせのメールを入れてみると、
「そうなの。10年ぶりに3番目が生まれたの〜」
H美家族の5個めの笑顔、Yは、キュートな垂れ目がH美と瓜二つの、可愛い男の子だった。

2年前に関西へ旅行した時、彼女はYを伴い、奈良と京都の名所を案内してくれた。
真冬のオフシーズンだったが、私達3人は、伏見稲荷から奈良に移動し、般若寺に東大寺、春日大社に興福寺……修学旅行でも こんなには回れまい、というほど古刹を巡りまくったのである。
「ダメだ……油断するとヒザが笑っちゃう」
さすがに疲れた、と言い合うH美と私の周囲を、Yはタタタ!と駆け回る。

子どもは必ず顔を突っ込む。…あ、私もだ(笑)

「あれだけ歩き回って、まだ走るか〜」
「なんだか知らないけど、ボク、走っちゃうんだぁって言ってるよ」
私達は溜め息をつきながら、古都を爆走するYのパワーを眩しく眺めた。

去年の夏は、上京したH美・Y親子と、東京タワーの外階段を上った。
オトナ女子の私達が1階ずつゆっくり階段を上る間、Yは一往復 余分に上下する。
つまりYは、東京タワー2本分の階段を上ったのだった。
その夜、お台場の海岸沿いにあるレストランで夕食をとっていると、大人の話に飽きたYは、海岸の砂浜へ行き、一人で黙々と逆立ちの練習をしていた。

お台場の海岸で逆立ちをするY少年。夜景は無視!

端午の節句にちなんだ 『男の子の話』は、これでおしまい。
近頃の男の子はひ弱だ、とおっしゃる方は 世間にたくさんいるだろう。
でも、私の周囲の男の子達は、みんな伸び伸び元気に育っている。
もちろん、女の子も元気!
大人の皆さん、ご心配には及びません。
日本の将来、案外 大丈夫!!

父からネクタイの結び方を教わるT家のY君。赤いシャツはステージ衣装なんだって。

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