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連載記事 午後の散歩道
山田りかのハートフルエッセイ

プロフィール:某酒類メーカーに勤務するかたわら、ママ達の日々の暮らしを見つめる勤労作家。年齢不詳。いくつになっても、竜也の前では乙女です。

No.18

世界フィギュア開幕!

『午後の散歩道』に、ようこそ!
春の足音が、いよいよ近づいてきましたネ。 散歩道を行き交う人々も、もこもこのダウンジャケットから、明るい色のスプリングコートを身にまとう人が増えてきた。
しかし春の訪れの前に、私には大きなイベントが待っている。 それが毎年この季節に行われる、世界フィギュアスケート選手権大会だ。

世界選手権は、フィギュアスケート界にとって、オリンピックに次ぐ大きなイベント。
今年の開催日程は3月23日から29日まで。開催都市は中国・上海である。

夜景はキレイだけど、大気汚染が心配!

日本の出場選手は、昨年末に行われた全日本フィギュアスケート選手権の表彰式後に発表された。 町田樹選手が突然の引退宣言をした、あの時ですね。
  男子シングル……羽生結弦、小塚崇彦、無良崇人
  女子シングル……村上佳菜子、宮原知子、本郷理華
  アイスダンス……クリス・リード、キャシー・リード
  ダブルス…………木原龍一、高橋成美
以上10名が、世界の強豪選手に戦いを挑む。 …と、書いているだけでコーフンする私は、昔からのフィギュアスケートファンである。

どのくらい昔から? と聞きながら、電卓片手に 私の年齢を推察しようとする人、じゃあ言いましょう。 初めてフィギュアを見て心を弾ませたのは、幼〜い頃(←ここ、一応強調)札幌五輪 (‘72) で女子シングルの銅メダリストとなった米国代表ジャネット・リン選手の伸びやかな演技だ。

札幌五輪の記念切手。昭和の香りが懐かしい (笑)

赤一色のシンプルな衣装に金髪のさらさらショートヘア。 演技中に尻もちをついても絶やさなかった明るい笑顔が、日本中の人々を虜にした。 当時、『銀盤の妖精』と謳われた彼女は、宿舎となった選手村の壁に、「Peace & Love」と落書きしたことでも有名だ。
ジャネット・リンを知らない人、さあ検索して、あの笑顔に触れてみて♪

「雪と氷の祭典」札幌五輪以来、私は冬季オリンピックのフィギュアスケート競技に心をときめかせてきた。 ’84のサラエボ大会でカルメンを演じたカタリーナ・ビットや、同大会で伝説のボレロを演じたアイスダンスのトービル&ディーン組。 ‘80年のレークプラシット大会で、スイス代表デニス・ビールマンの「ビールマン・スピン」を見た時には、これが人間なのか? と、そのしなやかな柔軟性に驚愕したものだ。

伝説のアイスダンス『ボレロ』は今でも忘れられない☆

日本人選手で 初めて世界に名を残したのは、’92 アルベールビル大会で銀メダルを獲得した伊藤みどり。彼女は当時、女子では不可能といわれた3回転半のジャンプ、トリプルアクセルを武器に、世界を席巻。 金メダルにもっとも近い日本人少女として、アメリカの有名雑誌『タイム』の表紙を飾ったこともある。

でもそのドレスの色とデザインは…(>_<) もうちょっと何とかならないのか!?と、やきもきしながらも、私は彼女の戦いを、深夜、固唾を飲んで見守ったものだ。 結果はジャンプのミスで銀メダルに終わったが、リスクを恐れず、難度の高い技に挑戦するスポーツマン魂に、日本中が感動したのであった。 彼女の登場を機に、「美と技を競う、欧米の競技」と言われてきたフィギュア界にも、日本人選手の活躍が目立ちはじめた。 ’94 リレハンメル大会で5位入賞を果たした佐藤由香、’02 ソルトレークシティ4位の本田武史、5位の村主章江。 そして’06 トリノ大会で荒川静香が金メダルを獲得すると、フィギュアスケート人気は一気に上昇した。 荒川選手以降、安藤美姫や浅田真央、高橋大輔、羽生結弦まで、世界のトップに輝く選手達の活躍は、皆さんもご承知の通りである。 今の日本人選手は、スタイルだって欧米人に負けてない◎

フィギュアスケートの主なシーズン・スケジュールは、
  10〜11月……グランプリシリーズ(世界6か国で開催される国際大会)
  12月上旬……グランプリ・ファイナル(シリーズ上位6名による決勝戦)
  12月下旬……全日本選手権(世界で最もハイレベルな国内大会)
   2月中旬……世界四大陸選手権(欧州を除く四大陸の世界大会)
   3月下旬……世界選手権
   4月中旬……世界国別対抗戦(世界選手権後の、お祭り的な競技イベント)
この競技日程の中に、4年に1度、オリンピック大会が組み込まれる。

静香ちゃんが金メダルを獲ってくれたおかげで、テレビ局の扱いは一変。 今まで深夜にひっそりと放送されていた上記の試合も、ゴールデンタイムへと格上げされた。

グランプリシリーズが始まると、お茶の間のフィギュア・ファンはテレビの前に釘付けとなり、各選手の技の仕上がりや衣装、楽曲や振り付けなどをチェックする。
そうして ごひいきの選手が、世界でどこまで活躍できるか、胸を高鳴らせ、彼らの挑戦を春になるまで見守り続けるのである。

リプニツカヤのキャンドル・スピン。これを見るのもの大会の楽しみ♪

フィギュアスケートは、男女シングルの場合、ショート・プログラム(SP)とフリースケーティング(FS)、2回の演技の合計点を競う採点競技である。

技の要素は、ジャンプ、スピン、ステップ、スパイラル(女子のみ)の4つ。
この中で最もダイナミック、かつ得点が高い要素は皆さんご存知の ジャンプである。ジャンプの種類は全部で6つ。 これを基礎点の高い順に並べると、

1.アクセル 2.ルッツ 3.フリップ 4.ループ 5.サルコウ 6.トゥーループ

アクセルは前向きに飛び上がり、後ろ向きに着地するため、他のジャンプより半回転多く、最も難易度の高いジャンプ。
真央ちゃんの得意技トリプルアクセルは、成功すると基礎点8.5の大技である。
バンクーバー五輪のキム・ヨナは、トリプルアクセルを飛ばず、次に得点の高いトリプルルッツ×トリプルトゥーループのコンビネーションジャンプ(基礎点10.1)で真央を制し、優勝した。

また、ジャンプは演技後半で基礎点が1.1倍に加算されるのも得点を競う上で重要な要素。ソチ五輪で羽生結弦がパトリック・チャンを破って金メダルを獲得したのは、後半のジャンプを完璧に成功させたことが勝因である。

キム・ヨナと羽生結弦、この2人の金メダリストを指導したブライアン・オーサー氏は、選手の能力を最大限に引き出し、得点を積み上げて勝利へと導く、世界でもっとも優れた「軍師」といえるだろう。

フィギュアの採点方法は 複雑で難解

さて、ここまでフィギュアスケートの解説(もどき)をしてきたが、この競技の魅力はもちろん、勝ち負けだけじゃない。 選手の個性を生かした衣装や楽曲、演技中の表情など、見ているだけで女子力が上がる華やかさ、銀盤を滑る優雅な美しさは、他のどんなスポーツにもない特徴だ。

「なんか あの人達(選手)って、ナルシストっぽくない?」
元サッカー少年のまーくんは、ハスに構えて彼らを評する。 しかしそんなのは、当たり前のことだと私は思う。 すり鉢状に並ぶ観客席に囲まれたアイスリンクで、誰もいないツルツルの氷の真ん中に立ち、難しい技と表現を、たった1人(もしくは2人)で披露するのだ。 その物凄いプレッシャーに挑む選手が、強靭なメンタルを持ったナルシスト以外に 務まるワケがないではないか。

昨年、ソチ五輪の後に全国で開催された「Smile 浅田真央23年の 軌跡展」。 真央ちゃんファンの私は横浜高島屋の初日に行ってきた。

会場に入ると、スケートを履き始めた5才の頃からソチ五輪まで、彼女が実際に試合で着用した衣装がズラリと並んでいる。 幼少時代を除いたすべての衣装を、私は楽曲・演技とセットで覚えていた。

15才で世界の舞台に躍り出たショパンの「ノクターン」とピンクの衣装。
バンクーバーで大粒の涙を拭ったラフマニノフの「鐘」と真紅の衣装。
母を亡くした直後に全日本で優勝した リストの「愛の夢」と薄紫の小花の衣装。

他の多くのファンがそうであるように、私もまた、浅田真央選手の成長と挫折、不屈のアスリート魂を見守ってきたんだなぁ、と胸に込み上げる思いがあった。

衣装とパネルで綴る、浅田真央展。感動しました。

このように、競技と選手個人の人生をオーバーラップさせてしまうのもフィギュアスケートの魅力の一つかもしれない。

摂食障害から競技に復帰し、五輪出場の夢を実現させた鈴木明子選手や、2度の世界フィギュア女王に輝いた 安藤美姫選手の艶やかな演技(と、その後の妊娠・出産!)。 大怪我から復帰してバンクーバーで銅メダルを獲った高橋大輔選手など、フィギュア選手にまつわるドラマを上げたら、一晩中でも語りきれない。

2011年3月11日の東日本大震災で被災した羽生結弦選手は、避難生活の後、故郷を離れ、各地のスケートリンクで研鑽を積んだ。
翌年から現在のコーチ、オーサー氏に師事を仰ぎ、練習拠点をカナダに移した彼は、その年のNHK杯で優勝を飾り、世界のトップスケーターに名を連ねた。
NHK杯が行われたのは仙台市の体育館で、そこは震災当時、被災した方々の遺体安置所になっていた場所である。

ソチ五輪で世界の頂点を極めた羽生選手は、表彰台の真ん中で、最高の笑顔を私達に見せてくれた。
しかし、今シーズンは中国大会での衝突事故や腹痛による緊急入院、退院後の足首捻挫など、波乱に満ちた選手生活を送っている。
世界選手権には出てほしいけど、決して無理はしないでほしい。
でもきっと彼は安全な道を選ばず、二度目の頂点を目指すに違いない。

観客席はきっとこうなる!

世界フィギュアに先立ち、先日行われた世界ジュニア選手権では、男子シングルで17才の宇野昌磨が優勝、15才の山本草太が3位。女子シングルでは14才の樋口新葉が3位に入る大健闘を見せた。

さぁ、次はシニアの選手達の本番だ。

シーズンをしめくくる大会は、すぐそこに迫っている。

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