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連載記事 午後の散歩道
山田りかのハートフルエッセイ

プロフィール:某酒類メーカーに勤務するかたわら、ママ達の日々の暮らしを見つめる勤労作家。年齢不詳。いくつになっても、竜也の前では乙女です。

No.03

フィンランド紀行  〜 スオミはステキ 編 〜

『午後の散歩道』に、ようこそ!
はぁ?カンベンしてよ。 午後の散歩道なんて、暑くて歩けやしない。
冷房の効いた部屋で、蝉の鳴き声にウンザリしながら
このエッセイを読んでいるあなた。
いいじゃないですか。 蝉しぐれ。
私なんて まだ梅雨明け直前の蒸し暑さのなかで
ダイソンじゃない扇風機を回しながら
ジワジワと熱を発するパソコンに向かってコレを書いているのだ。

ということで、一刻も早く
このムシムシとミンミンから脱出するために、
フィンランド行きの飛行機に搭乗しよう。

これを見ただけで、テンションUP!

時間を巻き戻すこと6か月。
北半球は真冬の2月2日。
ご近所のM先輩から借りたスーツケースをゴロゴロ引いて
私は一人、成田空港 出発ロビーへやってきた。
さぁて、出発までの2時間、どうやって時間をつぶそうか。
空港スタッフの優しそうなお姉さんをつかまえて
ボードの下で記念写真でも撮ってもらおうか……。

ここで「ん?」と疑問を持った方。
あなた、推理小説を読み慣れてますね。
前回の私のエッセイを、しっかり記憶していらっしゃる。
今回の旅は、会社同期のCちゃんと一緒のはず。
いったい彼女はどこにいるのか?
広いロビーを見渡しても、その姿はない。
なぜなら彼女は今、別の空港のロビーにいるから。

10年で会社をドロップアウトした私と違い、
着実にキャリアを積み重ねてきたCちゃんは、
現在、ある地方都市の文化事業に関わる仕事に就いている。
そのため 彼女の出発地は、
地方都市から一番近い空港となったのだ。
そう、私達の旅は お気軽な海外パックツアーなどではなく、
現地集合・現地解散という、自主性に富んだ旅行なのである。

幸い2つの空港から出発する便は、
ほぼ同時刻に到着予定のため、
待ち合わせはヘルシンキ・ヴァンダー空港と決めていた。

そんなわけで、私は単身、搭乗ゲートをくぐったのである。
15年間、大宮から熱海までの結界の中で生きてきた私だが、
海外への一人旅は、初めてではない。
その昔、ボストンに住む友人を訪ね、
太平洋を渡ったことだってあるんだからね! なめんなよ!!
誰にともなく そうつぶやき、心細さをごまかしながら
12時発の フィンエアー74便に乗り込んだ。

ヘルシンキまでひとっ飛び!

さてここで、ヘルシンキ到着までの時間を利用して
フィンランドの予習をしてみよう。

フィンランドの正式名称はフィンランド共和国。
北欧諸国の一つで、西はスウェーデン、北はノルウエー、
東はロシアと隣接している。
日本人がJAPANを「日本」と呼ぶように、
フィンランド人は自国のことを「スオミ」と呼ぶ。

面積は日本とほぼ同じだが、人口は約530万人。
日本の約4パーセントしかいない。
ちなみに 神奈川県の人口は約900万人。
フィンランドは神奈川県民の6割の人数で、
一国をまかなっている、ということだ。
GDP(国内総生産)は世界の中で33位。
世界3位の日本に比べると はるかに少なく思われるが、
1人当たりの金額は、なんと日本とほぼ同じ。
フィンランドはムーミンとサンタだけの国じゃない。

基幹産業はハイテクを中心とする工業で、
携帯電話メーカーのノキアも、フィンランドの企業だ。
彼らは少ない人数で、結構稼いでいるのである。
消費税は24%と、目の玉が飛び出る高さだが、
その分、教育や福祉などの社会保障は整っていて、
学校は大学まですべて公立。
老人になっても年金の心配をすることはない。
森と湖に囲まれた北欧の小国は、
国民があくせくせずとも暮らしてゆける、
ゆったりとした 豊かな国なのである。

…とまぁ、池上彰の番組みたいな予習をしてる間に、
ホラもうヘルシンキ・ヴァンダー空港に到着だ。
フィンランドというと、地の果てのような気がするが、
成田からヘルシンキまでの所要時間は約10時間。
北回りの航路では、日本からもっとも近いハブ空港なのだ。

イミグレーションの審査官に旅の目的を聞かれ、
「サイト シーイング!」と元気よく答えて
無事、フィンランドへ入国。

スーツケースが流れ出てくるバゲージ クレームへ行くと、
別便で少し前に到着していたCちゃんが
笑顔で私を待っていてくれた。
旅の隊長、Cちゃん。 隊員=山田。

「Cちゃーん」
ほんの1週間前に有楽町の和食屋で会ったというのに、
まるで数年ぶりに会うみたいに、懐かしい心地になった。

「さぁ、ホテルに行くわよ」
「ハーイ」
旅慣れたCちゃんの後にくっついて空港を出る。
彼女は2年前の夏、一人でヨーロッパを旅した時に、
ヘルシンキにも少しばかり滞在したという。

空港から市街地まではバスで30分。
外の空気は恐れていたほど冷たくはなく、
スマホの気温表示はマイナス1℃。
雪に閉ざされた都市をイメージしていたのに、
冬の軽井沢よりもまだ暖かい。

街の中心、セントラル・ステーションでバスを降り、
ホテルに着いたのは夕方の5時過ぎだった。
さぁ、ここからは私が現地でパシパシ撮った
iPhone画像を載せていこう。

街の中心、セントラル・ステーション。

ホテルの部屋に荷物を置き、
私達は夕食がてら、治安の良い夜の市街地を散策した。
中心街でも、人影はまばら。

デザイン立国と謳われるだけあって、
小物屋さんのショーウインドーも、こんなに素敵。
カラフルな色調に胸が弾む♪

当地最初の夕食は、フィンランドの郷土料理のお店に決めていた。
ガイドブックを見て『SABOTTA』という名の、
なんとなく旅人が後ろめたくなるレストランに入ってみる。
古びたログハウスのような作りのこの店は、
驚いたことに、お客の半数が日本人だった。
北欧デザインとオーロラブームの影響で、
この地を訪れる日本人観光客は、年々増え続けているらしい。
真っ赤な民族衣装を着たおばさんウエイトレスは、
私達を見て、日本語のメニューを差し出した。
日本語で書かれた、フィンランド料理の数々…。

「昔行ったハワイのステーキ屋さんを思い出しちゃった」
「パリもそうだったなぁ。今は中国語だけどね」
私達は、ていねいな日本語で書かれたメニューの中から
魚のスープと名物のトナカイ料理を選んだ。
どちらも味は素朴で 付け合せの野菜も多く、日本人の舌に合う。
トナカイの肉は少しクセがあるが、肉質は柔らかくて美味しかった◎

……とここで!
フィンランド最初の夜で、ページが尽きてしまった。 ( またか!)
と同時に、どうやら梅雨も明けたようだ。
この原稿を書いている間中、ピカゴロと激しかった雷雨が、
気づいたら すっかり静まっているではないか。
ということは明日から、ミンミンジリジリの夏?
でも大丈夫。 次回の散歩道は 皆さんと一緒に、
サンタのふるさと、ラップランドへと飛び立ちます!

予告編 画像はコチラ。
ラップランドの森で、犬ぞり♪

それでは再び、「モイモーイ!」

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