國學院大學人間開発学部による「子育てエッセー」
教育が抱えるさまざまな問題と向き合いながら、子どもたちの健やかな成長を考えます。

2017年 No.01 心を伸ばす受験で、 子どもはスクスク成長

受験生の間で、ナマケモノというアマゾン奥地に住む動物の絵馬が流行っているそうです。ナマケモノは、ほとんど木の上で寝ているが落ちることがない。受験生に人気の太宰府天満宮の宮司様の話によると、ここが受験生に受けているとのことです。
 受験について思うことは、受験生のためのカウンセリングという発想が、なぜ日本にはないのだろうかということです。子どもたちは、現実に厳しい受験戦争に追いやられています。せめて受験が、子どもたちの心を伸ばすものであって欲しいと願います。その為の3カ条を挙げてみます。

一、「健康管理も実力の内」
 今日の子どもに求められている「生きる力」の一つに、健康への自己管理能力があります。その年に流行したインフルエンザのため大学受験に失敗した生徒に、担任教師は敢えて、厳しい言葉を投げ掛けました。「風邪をひくのも、実力のうちだぞ」
 この言葉は、彼の人生訓となっているそうです。たしかに、うがい、手洗いの励行等は「自立した人間」の生き方の基本です。

二、「感謝の気持ちで受験」
 受験は子どもたちにとって、人生の試練です。受験は、大人の仲間入りするために越えなければならない、現代版「通過儀礼」でもあります。しかし、その一方で忘れがちなのは、自分を支えてくれている人々への「感謝の気持ち」です。
 たとえば「お守り」は、周辺の人々から愛されていることの証でもあります。試験当日は、受験できることへの感謝の気持ちを込めて、玄関先で「行ってきます」「がんばってきます」と大声で叫んで、出発して欲しいものです。
 試験中にアガってしまい「危ない」と思ったら、お守りを握りしめ家族の顔を思い浮かべると、結構落ち着くそうです。

三、「プラス志向の生き方」
 人生はプラス志向で生きることが大切です。受験を通して、このことを知ってもらいたいものです。おみくじで末吉を連続して引いた受験生が、こんなことはめったにない幸運、と気持ちを切り替えたという話を聞いたことがあります。「床に落ちた」も、「床に大当たり」といった気持ちの切り替えが大切です。「絶対だいじょうぶ」と、寝る前に二十回言うようにすると、不思議と自信が湧いてくるそうです。

 人生は負け方が大切です。受験以上に、社会はもっと厳しいのです。実力とは、マイナスもプラス志向で発想の転換をすることができる力だと言えるでしょう。
子どもたちは、弱気の時こそ、素直に親の言うことを聞いてくれます。親を求めているのです。受験は、親子対話のチャンスでもあります。大いに語り合って下さい。

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