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【インタビュー】心の通じ合う医療を目指す子供たちのホームドクター

院長 時枝 啓介先生

産業医科大学医学部卒業。オハイオ州シンシナティ小児病院、慶應義塾大学医学部小児科、横浜市立市民病院小児科(喘息外来)等を経て、2003年ときえだ小児科クリニック開院。日本小児科学会認定小児科専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医。医学博士。

心の通じ合う医療を目指す子供たちのホームドクター

「子供が大好き」と話すのは、頼れる地域のホームドクターとして14年間、子供たちの成長をまるで親のように見守ってきた時枝啓介院長。小児科専門医としての知識や経験を生かしながら、お子さん一人一人に合わせた病気の診断と治療、そして日常生活のアドバイスや育児相談などを幅広く行い、さらに通院が困難な重度障がい児の訪問診療にも取り組んでいます。そんな時枝院長に、クリニックのことやアレルギー疾患についてお話を伺いました。

地域に根ざした医療を実践する小児科のホームドクター

――クリニックの特長を教えてください

 小児科専門医としてのこれまでの知識と経験を生かして、お子さんの一人一人にあわせた病気の診断や治療に加えて、日常生活のアドバイスや育児相談なども幅広く行っています。

一般小児科診療や乳児健診、予防接種のほか、特に力を入れていることが二つあって、一つは、私の専門分野でもある気管支喘息とアレルギー疾患の治療です。もう一つは、在宅での人工呼吸器の管理や在宅酸素療法、胃ろうバルーンカテーテル交換、訪問看護の指示やリハビリテーション計画の作成、日常の健康管理や定期的な予防接種、健診などの小児在宅医療に対する訪問診療です。

 外来で来られる方の半分以上は、何かしらのアレルギーを持っている患者さんで、一番多いのは喘息、ほかにアレルギー性鼻炎やアトピー性皮膚炎。最近増加傾向にあるのが、食物アレルギーのお子さんです。当院は、午前中と夕方の時間帯を一般診療、午後は、予約制の予防接種と喘息・アレルギー外来の時間にしています。

――治療方針を教えてください。

 喘息とアレルギー疾患の治療では、世の中に認められた治療方法であるガイドラインがあるので、最新のガイドラインに沿った根拠のある治療をしています。ただ、一人一人の患者さんは、年齢も違えば症状、重症度も違い、そこにどう対処していくのかがポイントですから、それぞれに合わせたテーラーメイド医療をしています。

 そして、インフォームドコンセントを重視しています。特に喘息をはじめとした慢性疾患の治療では、どうしてそうなったのか。今はどのような状態で、どのような治療が必要なのか。最終目標はどこなのかをしっかり説明して理解してもらうことが大切ですから、模型や図も使いながらわかりやすく説明をしています。病気のことをしっかりと理解してもらっていないと、例えば、症状が治まったらからと薬をやめてしまって、再発を繰り返してしまうことになります。しかし、しっかりと病気を理解してもらった上で、この薬を続けることが大切ですという話をすれば、症状が治まっても治療を続けてもらうことができますから、病気を根本から治すことができるんです。

 病気の治療を登山に例えれば、山の頂上、つまり病気の完治ですけど、その人の病気や症状によって、富士山に登らないといけないのか、高尾山なのか。富士山に登るのであれば、こういう装備が必要で、どういうルートで登っていくのか、というように、私は山の頂上、病気の完治を目指す患者さんをサポートするガイドでありたいと思っています。

喘息やアレルギーの治療は、根気よく続けることが大切

――お子さんの喘息の治療は、どのように進めるのですか?

 まず、喘息になっていても、一般的によく知られているゼーゼーといった喘鳴の症状が、いつも出ているわけではありません。だから、夜中に咳き込んで救急外来に行って、「これは喘息だから、明日、かかりつけの先生に診てもらってください」とお医者さんに言われても、翌日には症状が治まっていて喘鳴の症状も現れないので、喘息ではありませんと言われてしまうケースがよくあります。

つまり、必ずしも診察室で症状が起こるとは限らないので、診察時の聴診所見よりも、日常的にどのような症状があるのかを親御さんから十分に聞き出し、加えてアレルギー検査や呼気NO測定、スパイロメトリー(呼吸機能検査)などで、正確に診断をする必要があります。そして、一時的な対症療法だけを続けていても、いつまでたっても根本的には治りません。発作が起きているときには、薬で気管支を広げて呼吸を楽にしますが、より大切なのは、発作が起きていないときに気管支の慢性的な炎症を解消して、外部からの刺激に反応しない正常な気管支に戻す治療を続けることです。喘息の根本治療には、長期間がかかりますが、根気よく続けていくことが大切です。

――食物アレルギーについては、どうでしょうか?

 食物アレルギーの治療では、従来からある除去療法と、最近では経口免疫療法と言って、原因食物を少しずつ食べさせる治療法があります。私は最初に、親御さんに「これはどちらが正しいと思いますか?」とよく聞きますが、これは両方とも正しいんです。つまり、患者さんの免疫の状態によって治療法は変わるんですね。赤ちゃんの未熟な免疫状態のときは、原因食物を除去するのが第一の選択肢で、そうするとこで約半数は、免疫が成熟してくる3歳前後までに治ります。

しかし残りの5割の患者さんはアレルギーが残りますから、そこでするのが第二の選択肢である経口免疫療法なんです。ただし、経口免疫療法は、アナフィラキシーショックを起こす可能性がありますから、勝手にするのではなく、医師の指導のもとで行うことがとても大切です。

心配事があれば、気軽に相談を

――先生は、なぜ医師を志したのですか?

 私は、高校まで文系だったんです。それで浪人をしていたときに都内の予備校へ通っていたのですが、クリスマスのボランティアで人形劇をしませんかという街中に貼ってあったポスターが目に入って、すごく興味を引かれたんです。それで参加をして、すべて自分たちの手作りで、都内の病院に併設されている乳児院でやったのですが、そこにいた病気なのに健気にがんばっている子供たちを見て、自分にも何か役に立ちたいと思って、一念発起して医学部に進みました。だから私には、医者になるということは小児科医になることだったんです。

 研修医の頃はずっと病院に泊まり込みで、寝ても数時間だけということもありましたけど、すごく小さく生まれた子が成長して、小学生や中学生になって、この先生に助けてもらったなんて言われたときには小児科医になって本当に良かったと思いましたし、今でも毎日、子供たちを診ていて、元気に成長していく姿を見守っていけることにやりがいを感じます。それに私は、割と子供に好かれるんですよね。親御さんたちに、「うちの子は、ここでは泣かないんです」とよく言っていただけます(笑)。

――子育て中の親御さんにアドバイスをお願いします。

 最近は、インターネットに情報が氾濫していて、その中には古い情報や正しくない情報も少なくありません。それに小児医療は、ものすごいスピードで進化している分野で情報の取捨選択が必要ですが、どれが正しくてどれが間違えているのかなんて、一般の人はわかりませんよね。だから、何かお子さんに心配なことがあれば、ざっくばらんに相談に来てほしいと思います。

食物アレルギーが心配という人もいれば、喘息が心配、アトピー性皮膚炎が心配という人、悩みは人それぞれで違いますし、それぞれに適切な対処方法がありますから、具体的に相談をしてもらえれば、その子に適したアドバイスができます。親御さんが気にしていることでも、実はそんなに心配することではない。医学的な根拠があって大丈夫と言えるのは、いくらでもあることです。そういうときは、お話をするだけで心配事がひとつ解決しますよね。病気になる前でも結構ですから、なんでも相談をしてください。

先生の横顔

 約3年前から本格的なゴルフの練習を始めた時枝先生。ナイター営業のゴルフ練習場に2~3日に一度は通い、体力作りを兼ねたセルフトレーニングを重ねつつ、レッスンプロについてスイングを改善するなどストイックに技術を磨いた結果、ベストスコアが80 台になるまで上達。コンスタントに80 台のスコアを出せるようになることが目下の目標だそうです。

SPOT INFO スポット情報

ときえだ小児科クリニック

小児科
所在地 都筑区北山田1-12-15
TEL
アクセス
  • 北山田駅より徒歩2分

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